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カウンセラーの対談「第17回ウォン・ウィンツァン氏、向後カウンセラー対談<第3回>」

第17回ウォン・ウィンツァン氏、向後カウンセラー対談<第3回>

ウォン・ウィンツァン氏 プロフィール

ウォン・ウィンツァン氏 ピアニスト、即興演奏家、作曲家

1949年神戸にて、香港出身の父、日本と中国のハーフの母との間に生まれる。1歳より東京で育つ。
19歳よりミュージシャンのキャリアをスタートし、ジャズ、前衛音楽、フュージョン、ソウルなどを演奏。その後、スタジオレコーディング/ステージミュージシャン、作編曲家として活動を続ける中、自らの音楽を模索。
87年、瞑想の体験を通して自己の音楽の在り方を確信し、90年よりピアノソロ活動を開始。この頃に現在のウォン・ウィンツァンのピアノソロ・スタイルが生まれる。
92年、インディーズレーベル SATOWA MUSICを発足、1'stアルバム「フレグランス」がFMから火がつきロングセラーになる。以後コンスタントにサトワミュージックよりアルバムをリリース、その数は20タイトルを超える。代表作に「Doh Yoh」「エイシアンドール」「たましいのトポス」「光の華」など。

ウォン・ウィンツァン氏また、NHKスペシャル「家族の肖像」、BShiスペシャル「中国世界遺産 九寨溝」、現在 季節放送中のNHK「にっぽん紀行」、そして毎週放送の長寿番組 Eテレ「こころの時代」のテーマ曲も手掛けている。
ピアノソロ以外にも、地雷犠牲者救援CD「もしも地雷がなかったなら」、クラシックアルバム「Debussy」、ジャズトリオ「WIM」など、多岐の音楽活動をおこなってきた。

2011年1月、19歳から数年の活動の後に解散した、フリー・インプロヴィゼーション・グループ「白カラス」を再結成。かつてのメンバー、山本公成、YAS-KAZと共に「解体と蘇生」というテーマで、新たな実験音楽の活動を始めた。
そして… 3・11を受け、3月16日より被災地に向けて、インターネットによるUSTREAM配信「サトワより祈りを込めて」を開始、ピアノソロを中心に鈴木重子さんなど数名のゲストを迎えながら、全35回に及ぶ配信を続けた。
また4月6日 風のホール「新たなる祈りのトポス」など一連のチャリティーコンサートを行い、支援金を募り、被災地に送り届けることが出来た。

ウォン・ウィンツァン氏ピアノソロ・コンサート、とくにインプロヴィゼーション(即興演奏)では、音の力でオーディエンスの深い意識とつながり、解き放たれた静寂空間を創り出してゆく。超越意識で奏でるその透明な音色に「瞑想のピアニスト」と呼ばれている。
お問合せ先:サトワミュージック 03-3950-8634

 

インタビュー第3回

向後カウンセラー(以下 向後):さて、では、今度は話題を変えて、精神病とスピリチュアル・エマージェンシーについてお話をうかがいたいと思います。

注)スピリチュアル・エマージェンシー(SE)とは、統合失調症などの精神病と同じような妄想・幻覚を持つが、その体験は、精神的な成長のプロセスの中での混乱であるという考え方。スピリチュアルエマージェンシーの考え方は、現在では、「DSM−W 精神疾患の診断の手引き」にも採用されている。

ウォン・ウィンツァン氏、向後カウンセラー対談向後:ウォンさんが、スピリチュアルエマージェンシーということに注目するようになったきっかけからお話しいただけますか?

ウォン・ウィンツァン(以下 ウォン):僕の友人のドラマーが、統合失調症になって薬漬けになって、すごい天才的なドラマーだったんだけど、復帰できなくて、一生潰したのを知っているんですよ。特別酷いことは無いんだよね。ただし、音楽ってものが研ぎ澄まされちゃっていてね、すごい演奏するんだよ。そういうようなときに、お母さんが突然亡くなられて、そういったショックが大きな問題を起こして発症したんだよね。その後薬漬けだよ。後、その人は一生涯戻って来れないんだよね。

向後:残念な話しですね。

ウォン:最近会った人でね、服飾デザイナーで仮にSさんにしておきましょうか、ナチュラル系統の服飾デザインで有名なんだけど、その人が本書いたんだよね。彼に呼ばれて、彼のイベントに行ってきたんだけど、彼が僕に話したの。彼が、壇上である霊的な体験をしたって言うんだけど、聞いてて、すぐSEだって分かったんで、「寝られなかったでしょう?」って聞いたら、「なんでわかるの?」って言うんだよ。彼は40代で発症したんです。その霊的体験と言われたもので、今の服飾デザインのスタイルを築いたんだよね。しかし、霊的体験の最中には、警察とけんかしてぼこぼこにして、そのまま精神病院に入られたとかいう話もしてたけど。

向後:精神病院も入ったんですね。

ウォン:イギリスのね。

向後:あぁ、イギリスですか。イギリスだったらよかったですね。

ウォン:よかったのよ。「彼らが僕がしゃべってることを、みんな聞いてくれて」って言ってた。イギリスは、オカルト大好きじゃないですか。だからそういうことが起こっても10日間ぐらいで退院させられて、出してくれたんですけどね。

向後:だいたいそんなもんなんですよ。欧米は。アメリカでやっていたときにね、僕は最初に担当した精神病のクライアントさんは、初めてのエピソードで、きゃしゃな女の子なんだけど、宇宙から「悪魔を退治しろ」と言うメッセージがきて、サンフランシスコの空港でね、消火器を振り回して空港の駐車場の車をボカスカやっていて、警察に捕まって、精神病院に入院するんだけど、その人も1週間以内に出てきたんですよ。
その彼女は、結局発症から4ヶ月で、きれいさっぱり治りました。妄想が強くて、いっしょに担当していた精神科医を悪魔だって言うんですよ、悪魔が与える毒薬なんて飲めるかってことで、結局薬を一切飲まなかったんです。それでも、4ヶ月で治っちゃった。最初のうち、彼女が話していることって、やれ自分が飼っている金魚と話をしたとか、すごい妄想的な宇宙からのメッセージがどうのとか、サンフランシスコの海岸で首なしの死体があったとか、しかも、私はその犯人を知っているとか、なんだとか荒唐無稽な話をするわけですよ。僕は、その話をただノンジャッジメンタルに聞いていただけなのですが、セッション中、生き生きとしゃべってくれて、そうしたら、だんだんだんだん妄想のレベルが落ちてくるんですよ。

ウォン:そう、落ちてくるんだよね。

向後:セッションは、金魚との会話から始まるんです。彼女は、いろいろな金魚がこう言った、ああ言ったなんてことを話すのだけど、よくよく聞いているとその金魚のひとつひとつが、彼女の願望であったり、不安であったり、喜びであったりするんですよ。精神病の人は、いろんな妄想や幻覚のことを話すけど、それって、その人の心の象徴なんですよね。それが表現されていくと、だんだんおさまっていくことがあるんですよね。

ウォン:ちゃんと会話させてやるってことだよね。

向後:例えば、慢性的だと言われている統合失調症も、2割から3割薬がいらなくなるレベルまで治ると言うことなんです。つまり、完治するんですよ。でも、統合失調症って言うと、最初からあきらめている専門家がいるじゃないですか。

ウォン:統合失調症と言っても、グラデーションがあるわけじゃないですか。器質的な人もあれば、家庭的な問題を抱えたものとか、性格的なものとか、いろいろあるじゃないですか。器質的なものは難しいかもしれないけど、家庭的なもの、例えば、コントロール過剰的なものとか、放っておきっぱなしとか。

向後:統合失調症の原因は、現在一応、遺伝だって言われているけど、それだけで決め付けるのもおかしいですね。統合失調症になりやすい遺伝子を持っていても、それを発症させるなんらか要因が環境の中にある場合も少なくないんじゃないかと思うんですけどね。

ウォン:そうだよね。

向後:ウォンさんは、以前、アーティスト関係の人達には、精神病的なあるいは、SE体験をしている人が少なからずいるということを言われていましたね。

ウォン:確かにあります。例えば、ある日突然、友人のZの中にインスピレーションが出てきて、喋り続けて・・、なんてこともありましたね。

向後:ずーっと喋り続ける感じですかね?言葉が勝手に出てくるみたいな・・。

ウォン:インスピレーションが、がーっと降りてくるんだよね。ねっ、もう文章を書いたりしてね。これはこうなんだ。でも、それは常識的には逸脱した発言だよね。

向後:でも、今は全然平気なわけですね?

ウォン:そうなんだよね。

向後:問題は、そういう状態になった時に、「これはもう治らない」って判断して、大量の薬を投与して、それで例えば入院して、長い人は10年、20年と入院生活を送って、中には入院生活40年なんて人もいるとのことですが、その方は、そっちの「治療」の方向には行かなかったわけですね。

ウォン:最初は、そっちの方に行きそうになった。彼のご家族の知り合いの病院で、自分の病院の一室を渡すから、家族で面倒見てくれということになり、ご家族で24時間体制で面倒をみて回復していったですね。

向後:なるほどね。24時間体制ですか。昔ね、ジョン・ペリーというUCバークレーで教えていた臨床家が、サンフランシスコでダイアベシスという施設を作ったんです。要するにそれは24時間のケアをする施設で、薬を使わずに統合失調症のケアをするという試みをやって、それと同じことをしたのですね。かなりよい効果があったのだけど、維持費が大変で、結局つぶれちゃったらしいんですけど・・。

ウォン:そりゃー、そうだと思うなぁ。大変な仕事だよね。まず、24時間じゃない。で、経験者じゃないとまず、難しいんじゃないかな?その経験者自体が少ないわけで、24時間体制だったら、お金が大変ですよね。維持費が。難しいだろうね。

向後:そうですね。

ウォン:発症した時、アーティスティックなことをやらせるとすごくいい。すばらしいんですよ。

向後:そういうこともあるでしょうね。例えば、サルバドール・ダリがいるじゃないですか。彼は、あちらの世界を絵という形で描きとめているんだと思うんですよ。そこに安定を持っているから、すごい芸術が出来上がると思います。

ウォン:でも、人間としては、人格的には最悪だったよ、あの人は。

ウォン、向後:ははは。

ウォン:絶対、個人的には付き合いたいと思わないよ。

向後:ははは。

ウォン:ちょっと話がずれちゃったけど・・。表現活動をしている人というのは、そういうものあると思うんですよね。

向後:ありますね。

ウォン:必要って言葉を使っちゃいけないのかもしれないけど・・・。

向後:あるんじゃないですか?例えば、三島由紀夫だってそうだったらしいし。彼の場合、文章がばーっと流れ出てくるみたいですよね?
Zさんの件については、病院が部屋を貸してくれたって言うのが良かったですね。

ウォン:それ正解だったよね。

向後:病院でなにがいいかっていうのは、一番安全なんですよね、僕は、病院と言う安全な場で、薬なしの状態をためしてみればいいと思うんですよね。

ウォン:それをやってくれたわけ。しかし、何も知らない家族が対応したんで大変だったみたいだよ。

向後:本当は、看護師とか、ソーシャルワーカーとか、精神科医とか、カウンセラーとかが対応するのが一番いいんでしょうけど。僕は、統合失調症などの精神病の患者さんのご家族には、まず、落ち着く方法をアドバイスします。まわりの不安や混乱が、患者さんの妄想や幻覚を強めてしまうことがあるので。ご家族と、十分にお話しすると、たいてい理解いただけて、その後は、落ち着いて対応されます。もちろん、手に負えなくなる場合には、僕の方からさらにアドバイスしたり出張でカウンセリングしたりということもありますけれど。

ウォン:そうだね。落ち着くのが一番だろうね。

向後:ご家族は、不安になりますよ。だれでもそうですよ。僕ね、前怒られたことがあるんですよ。周りの人達が落ち着くことが大切だってことを、ツイッターで話したんですよ。周りの人というのは、医者だとかカウンセラーだとか看護師さんだとかを指して、患者さんが妄想的なことを言ったら、「発症した!」って興奮状態になるし、双極性障害の人が、躁状態になったら、「あっ、躁転だ!」って大騒ぎする場合があるわけです。そういうことをすると、その緊張が患者さんにうつって、ますます状況を悪化させるって言いたかったんですよ。

ウォン:本当にそうだと思う。僕も全くそう思う。

向後:僕は周りの人達に落ち着きましょうねということをツイッターでちょっとつぶやいたんですよ。そうしたら、「家族が落ち着けるわけがないじゃないでうすか」っていうおしかりをうけちゃった。そりゃそうだよね、って思いました。

ウォン:家族が落ち着きはじめると、なんとか自分でその不安を乗り越えようとする意識がSE状態の人の中に芽生えきて、それからよくなっていくことを見たこともあります。

ウォン・ウィンツァン氏、向後カウンセラー対談向後:例えばね、下向いて目をつぶっていくと、不安が大きくなるんですよ。そういう状態の人がふと顔を上げて目の前の人を見たら、ゆったりと落ち着いていたとすると、その不安の度合いが全然変わってくるんですよね。

ウォン:そうだよね。

向後:ぱっと目を開けた時に、目の前の人があわてていたら、不安定なるのは当たり前だと思います。

ウォン:SE状態の時、ある種の霊的なひとつの不文律と言うか、その中で成立する理論と言うか、合理的ななんかがあるんだろうなって思います。

向後:なるほど。

ウォン:ある断食会のお坊さんがね、チベット密教をやってきた方なんだけど、「精神病状態になった人を僕に預けてくれれば、そのまま治す」って言うんですよ。

向後:どうやってやるんだろ?

ウォン:んー、あのー、もっとやればいいっていうことらしいよ。

向後:んー、もっとやればいい・・か。

ウォン:要するに必ず戻るって言うんだよ。その人は断食療法も滝行もやるんだけど、そういう療法で十分治るって信じてたね。僕は、どうかわかんないけど、どっかでそういうのもあり得るかもしれないとも思ったね。

向後:徹底的にプロセスを進めてしまうとやり方ですね。

ウォン:そういうことだね。

向後:ひとつのやり方ですよね。ただ、危険はありますね。ミャンマーのお寺なんかでは走らせることもあるようですね。

ウォン:身体性に戻すと言うことね。

向後:走らせるのが一番らしいです。山の中を走らせるそうです。それで戻ってくる場合もあるし。それでもだめなら、最後は猿の干し肉を食べさせるんですよ。重たい食べ物を食べさせるのが最後の手段だって言いますね。

ウォン:それはもう、クンダリニーのときなんかもそういうふうにやるんだけどね。そういう話を聞いたことはあるんだけどね。僕はあんまり勧めないな、肉は。ははは。走るのはいいけど。

向後:肉を食べさせる目的はぼやっとさせることで、薬と同じかなと思っています。だから、対処療法的なもので、根本的な解決ではないと思うんですよ。アメリカにジャック・コーンフィールドと言う臨床家がいて、その人はミャンマーで修行した人で、いろいろスピリチュアルな系統の本をたくさん書いている人なんだけど、彼のところの最終手段は、ハンバーガーだって言っていました。

ウォン:ははは、それは・・。そりゃ、鈍感になるよね~。

一同、大笑

ウォン:薬以上に効くんじゃない?ひどいね。クンダリニーと言えば、どったんばったんやっているような状態になったらどうするのかって、僕は、瞑想家に聞いたことがあるんだけど、瞑想していてそういう状態になった場合にはなんとかなるんだけど、準備のない人がそういう状態になると、もうどうしようもないんだって。そういう場合は、押さえるんだって。僕は、進めた方がいいんじゃないかって聞いたんだけど、進めてもだめなんだよね。治める方向ですね。例えば、肉だね。後、自分の意志で止められるって、その先生は言うんだよね。やめるって自分で決めるんだって。

向後:へー、そこは面白いですね。瞑想して出てくる人は、そういうことあるかもしれないですね。瞑想し過ぎてバランンスを崩す人も同じなんですよ。出てくる状況は。幻聴が聞こえるとか、そういう症状は統合失調症と同じなんだけど、治るケースは高いですね。

ウォン:ふーん。

向後:僕よくやるのは、幻聴とセッションするんですよ。僕には幻聴は聞こえないけれど、クライアントさんは、その時確実に今聞こえているわけですよ。最初は、クライアントさんは、「ワーッ」ってなってやってくるわけですよ。僕はその人に聞くんです、「声はなんと言っていますか」ってね。でも、たいてい最初は「わかりませんっ!」って答える。よく、精神科医とかカウンセラーのところに来ると幻聴がでないとか、まことしやかに言われているんだけど、なぜか、僕のところに来る人は、バンバン出てくるんですよ。(笑) 僕は、「ひとことでもいいから、聴きとれる言葉はありませんか?」って聞くんです。そうすると、「死ね」とか、「お前は最低だ」とか一言二言ぐらいは聞きとれる。そこから始めていくわけです。そういうセッションを何回か続けていくと、どんな人達がいるのか聞きわけることが出来てくるんです。そうなったらしめたもんで、クライアントさんに通訳になってもらって、幻聴とディスカッションするんですよ。(笑)

ウォン:面白い~。

向後:なにがいいかと言うと、クライアントさんは、幻聴を客観的に見ることができるんです。グループセッションをやるみたいになって、そうすると、幻聴同士の中でグループプロセスが起こってくるわけ。そこまでくると、だいたいおさまってきますね。

ウォン:なるほどね。

向後:一回だけ、幻聴が謝ったことがあるんですよ。

ウォン:あはははは!出てきてすみませんって?

向後:いやね。不安になるようなことを言うわけですよ、その幻聴は。こんなことやっていたら、そのうちに大変なことが起こるってね。さんざん言うわけ。

ウォン:叱責したりするわけね。

向後:そうそう、こんなセッションやめろーっとかね。大変なことが起こるぞ!ってね。それで、僕は、「大変なことってなんだ?いつ起こるんだ?」って聞いたわけですよ。そうしたら、「それは言えない」とか言うんですよ。そうしたら、その幻聴が次のセッションから出て来なくなっちゃった。1ヶ月経っても出て来なかったので、僕は、その幻聴に向かって、「出てこい!」って言ったんですよ。そうしたらしぶしぶ出てきてね。「お前、なにかたいへんなことが起こるって言っても、なにも起こらないじゃないか!」って僕は言ったわけですよ。そしたら、そいつが、「私もそういう悪いことが起こってほしいとは思っていないから、起こらないように祈っていた」とか言うから、僕は、「下手な占い師みたいなこと言うな!」って、本気で怒ったんですよ。

ウォン:それ、おかしい~。(笑)

向後:お前、言っていることおかしいだろっ!」って言ったら、そしたら、その幻聴が、謝ったんですよ。

ウォン:ははははは!

ウォン・ウィンツァン氏、向後カウンセラー対談向後:僕の臨床経験の中で後にも先にもこの一度だけですけどね。

ウォン:面白いな。そういうことだよね。人間の体験なり経験の起きていることを否定しない、認めたうえで、そこから出発しないと、全部排斥することになるじゃない。人間がこんなこと経験するわけがないとかさ。人間とはこういうものだとかひとつの枠の中で見ていくから、なんかこう、治るべきものが治らない・・。人間の経験幅を全て体験することを。まずYESということから始めると、なんかみえてくるものがあるのかんって思う。

向後:そうですよね。一般から見て、なんか変なこと言うかもしれないけど、危険性というのはほとんどないんですよ。暴力的になる人は、一般人より少ないというデータもあるんです。僕がよくいろんなところで話すことなんですけど、アメリカでね、統合失調症の研究が盛んになり始めた頃の話なんですけど、精神科医たちが、統合失調症の患者をさがしにあちこちにいくわけですよ。それで、テキサスだかどこだかの南部の田舎に行って、例えばトムって言う人に幻聴があってなんか変なことを言うというので、その医師団が出向いていって、その辺にいたカウボーイに、「トムさんってどんな人ですか」みたいなことを聞くわけですよ。そしたら、そのカウボーイが、「ああ、トムかい、あいつは、ぶつぶつ変なことを言ってるよ。でも、牛の乳はちゃんと絞るぜ」って言ったっていうんですよ。

ウォン:そういうことだよね。

向後:そういう感じで余裕を持って接すれば、彼らもちゃんとコミュニティの中にいることができると思うんですよね。こちらが緊張しなけければ、けっこううまくいくんじゃないかと思うんですがね。

ウォン:今のこの日本の管理社会がいけないんだよね。きっとね。だって、バリ島とか行くと、変な人たくさんいるもん。統合失調症みたいな人も、うろうろその辺にいるわけですよ。

向後:日本でも、昔、電車の中で車掌さんの代わりに「次は~どこそこです」って言ってくれた人いましたよね。最近見ない。

ウォン:電車の中で独り言言っている人、あまりみかけなくなっちゃったですよね。ああいう人達は怖いものじゃないって言うことが分かればね。いいと思うんだけど。独り言言っている人は、なかでだれかとけんかしているから、ちょっと言葉が荒刈ったりするから、まわりは怖がるんだろうね。

向後:そういう人達を温かく見守ることができる世の中でありたいと思いますね。

ウォン:そうですね。

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