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大西結花さん大西結花さんインタビュー
 
大西結花さんのプロフィール

大阪府出身 1968年7月6日 A型 T157 S23
【趣 味】 旅行/ドライブ/スノ-ボード/スキー/写真/テディベアコレクション/乗馬/ゲーム/読書/映画鑑賞/音楽鑑賞
【好きな物】 コスメ/アクセサリー/Macintosh/和食/温泉/サングラス
【資 格】 A級ライセンス/温泉ソムリエ取得
■オフィシャルブログ : Amebaブログ 「Yuka Onishi オフィシャルブログ」http://ameblo.jp/onishi-yuka/

〜略歴〜
1984年 TV「家族の晩餐」ヒロイン役でデビュー
1985年 映画「台風クラブ」横浜映画祭最優秀新人賞受賞
ポリスターより歌手デビュー 横浜音楽祭新人奨励賞受賞
1987年 「スケバン刑事V」出演 他
Career Of Performance
■CM
カゴメ「トマトケチャップ」
カルビー「ポテトチップス」
ヤマサ「ポン酢しょうゆ」
明星食品「のりラーメン」
資生堂「バスボンシャワーソープ」
ESS「パパウォッシュ」
鈴木自動車工業「セルボ」
■写真集
■書籍
1999年9月「セキララ」青林堂
1987年7月
1988年4月
1991年2月
1992年3月
1992年7月

1995年6月
1999年3月
「瞳にスキャンダル」ワニブックス
「ワクワク結花ランド」辰巳出版
「甘い予感」ビックマン
「琥珀色のモノローグ」大陸書房
「マイソロジー」
(1992年〜少女の瞳は永遠に)大陸書房
「+FLORE+」ワニブックス
「遠野 冬」宙出版
 

大西結花さんインタビュー1

大西結花さんインタビュー

大西:わ、すごーい。ちょっと感動しました。楽しいんですよね。iPhoneって。

向後:ついつい凝ってしまって。木魚や小鼓なんかもありますよ。

大西:そんなのもあるんですか? オモチャで満載ですね。一見不要なようで、それが楽しいっていうか。

向後:そうなんですよ。いずれはiPadも買ってね。絵を描いたり、色んなことができるでしょ。それで、アートセラピーとかやってみようかと目論んでいます。面白そうでしょ。

大西:これからはそういうのが主流になるかもしれませんね。ノートや教科書をカバンに詰めなくても、ひとつの端末に全部入ってしまうような。

向後:大体、教科書って重たかったですからね。

大西:でも、そんな時代が来たら、在宅のままで全て済ませられて、登校すら不要になるって話になりますよね。

向後:ある種の人達には、ありがたいかもしれないですね。

大西:でも、学校内のコミュニケーションで社会生活の勉強をするのも大事ですよね。

向後:引きこもっていて、他人とのコミュニケーションが全くとれなくなった方も多いですから。引きこもり期間が半年程度ならまだなんとか復帰できますが、1〜3年ともなると段々困難になる。その間、話をするのはせいぜい親くらいで、他人とは話さないでしょ。そうすると、外の世界への恐怖心が膨らんでしまう。
そして、3年程度ならまだしも、10年選手もいる。いやそれどころか、20代から引きこもり始め、とうとう60代になってしまった方もいる。80代のお母さんがケアをし、お父さんは亡くなってしまったとか。そんな話も聞きました。

大西:筋金入りですねえ。

向後:筋金入りですよ。今から40年前といえば1970年。僕が中学生の時です。その頃からですよ。

大西:引きこもりの方たちは、普段は何をしているのですか?

向後:ただじっと家にいる。最近ならパソコンでネットサーフィンして、といったところですね。

大西:ネットサーフィンをしているのなら、情報は欲しいのでしょうね。

向後:例えば、AKB48なんかもよく知っている。でもそれだけなんです。実体がない。
それはそうと、大西さんは先生になりたかった、と伺いました。またどうしてですか?

大西:幼稚園・小中学校の頃、先生が好きだったからかもしれません。

向後:いい先生に当たったんですね。

大西:何となく先生になりたいなあ、という思いはありました。それと、家庭や周囲の環境ですかね。私には5つ年上の姉がいますが、自分より下の子が欲しかったんです。それで、近所には、1つ2つくらいから、うんと年下の子もいて、自転車の乗り方や平仮名の読み書きの仕方を遊びながら教えたりしていました。
それから、本が好きでしたので、家にある児童書の次のページに何が書いてあるかまで読み尽くしましたね。
また、百科事典もあって、文章がよく分からなくても、生物や星の写真を楽しんでました。さらに家にある本では物足りなくなったので図書館に足を運んだところ、紙芝居のキットがあったんです。それを借りて、近所の子供たちに紙芝居を見せたり。そういうのが楽しかったんですよね。

向後:大西さんの時代にも、紙芝居屋さんなんてありました?

大西:数少ないですが、小さい頃に何度か体験してます。おじさんが読んで、最後に水飴をくれたりとか、そんな印象が残ってますね。
それが、プラスチックのケースに入った近代的な紙芝居キットにはなってましたけど、紙芝居を読んであげるのが楽しくて、小学校くらいの頃は毎週のように図書館で借りていた時期もあります。

向後:もしかしたら、大西さんはいい先生になれたかもしれないですね。

大西:それはどうか分かりませんが(笑)。でも遊びを編み出すのが楽しかったんですね。みんなから教わった遊びも加え、下の子と一緒に遊んだりしてました。

向後:なるほど。スケバンじゃなかったんだ。

大西:(爆笑)違った意味でガキ大将だったかもしれません。みんなを引き連れて、これやあれもやってみようと。そしてイタズラもたくさんしました。

向後:どんなイタズラをしましたか?

大西:本当にお転婆だったんです。うちの近所には瓦屋根の古いアパートが多く、2階建てなので屋根に昇ったり、中から入っていくと管理人さんに見つかるからと外の階段から侵入したり。またそこで忍者ゴッコとかやって。ただ、大人に怒られるから、見つからないようにやって。

向後:すごく活発なお子さんだったんですね。

大西:活発でしたね。昇った屋根の瓦がズリッと滑ったり、何て危ないことをしたのかと。でも、その中で自分なりに勉強したことも多かったんです。「瓦って、ここを蹴ると滑る」「ここに足を置けばガタガタと鳴らない」とか。

向後:忍者になれますね。時代劇の忍者モノなんかに出たらいいんじゃないですか?(笑)

大西:なんか楽しいですよね。ホント(笑)。

向後:楽しかったですよねえ。僕もよく屋根に登ったし、公園のモニュメントに登ったはいいけど降りられなくなったり。

大西:そういうたぐいです。木のてっぺんに、男の子よりも絶対上に登ってやるみたいな。

向後:登っている時はいいんですが。

大西:降りる時はイヤですよね。

向後:あるところまで登ると、木がしなるようになって…。そのうち、「かなりヤバイわー」って段々恐怖心が出てきて。なんであんなことをやりたがるんでしょうね。

大西:きっとスリルを求めてるんでしょうね。学校の中庭にあった溝に、落ちるかもしれない距離からジャンプしてみたり。

向後:それで落ちました?

大西:私は落ちたことはないです。周りの男子はよく落ちてましたが(笑)。

向後:僕は自転車ごと落ちたことがあります(笑)

大西結花さんインタビュー

大西:私の時代には、ゲームなんて家族でやる双六程度しかなく、だからありとあらゆる遊びを創り出してました。

向後:僕らの世代ならベーゴマとかですね。今は何でも出来ちゃいますから、逆にかわいそうな感じがします。

大西:私もやってましたよ!他にビー玉とかも。

向後:最近、ハイパーベーゴマみたいなのがあるみたいですね。

大西:そういう新しいのじゃなく、古いベーゴマなら分かります(笑)。

向後:僕の頃は、鋳物でできた、「長嶋」とか「王」と書いてあるベーゴマですね。

大西:銀色のものですか?

向後:いや、黒っぽく見える…。あ、のちに銀色になってたのかな。

大西:私の記憶にあるのは、ちょっと黒っぽい?銀色だったような気がします。強いコマをはねのけて、みたいな。

向後:そうそう。あれもけっこうやってたし。ゲームもホントにアナログでしたよね。

大西:そうです。アナログです。ダイヤルをグリッと回して、1個ずつ動かすやつ。

向後:あの手触り感が今はない。何でもクリックすれば出てきますからね。最近のゲームは、やってみると楽しいのですが、段々現実感がなくなってしまう。

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向後:最近は学校で競争をさせないらしいですね。徒競走で1位から3位までリボンか何かもらうじゃないですか。それがモチベーションになってたのに、もらえなかったりね。

大西:ニュースで見たことがあります。何ででしょうか。劣等感を生むからですか?

向後: そうみたいですね。要は、足の遅い子がかわいそうじゃないかという話なんです。変でしょ、それ。

大西:私たちの頃は、勉強もスポーツも、と天に二物も三物も与えられた人もいますが、勉強が出来ない子でも、徒競走で1位になって輝いたり、それぞれの分野で個性を発揮する場があって、バランスが取れていたように思います。

向後:あることが得意な人には、それに見合う選択肢がありましたね。 ある人は屋根瓦の乗り方が得意だとかいう方もいらっしゃるだろうし(笑)

大西:(笑)

向後:それと、最近の学芸会。主役を1人にするとマズイから、シンデレラが何人もいたり、となってるんですよ。ビックリしちゃってね。

大西:ビックリします!全く時代が違うんですね。

向後:みんな、失敗を回避しつつ空気を読まなきゃいけない。恐る恐る生きている。何だろうなと思います。 ところでKYって、僕は向後善之(コウゴヨシユキ)だからKYです。どうでもいいですね、これは(笑)。

大西:(笑)でもそれって、打たれ弱い精神を育成してしまうんじゃないですか。
日本中でそんな教育をしていると、その人たちが社会人になったら社会が成立しなくなるのではないでしょうか?
社会はもっと厳しいものですよね。もしそうなったら、誰が責任を取るのでしょうね。

向後:誰も責任を取らないでしょうね。僕ら大人の世代が、失敗を恐れてそういう社会にしてしまったと思うんです。

大西:自分が年長者になればなるほど、こうやると、こうなるから、こういうのはしない方がいいと、年下の人に老婆心でアドバイスをすることは確かにあります。でも道を選ぶのは自分自身。失敗も経験すべきだと思うんです。

向後:失敗しないと何も覚えない。
それから、親の介入という問題もあります。小学生が焼却炉で遊んでいて、指先を火傷したんです。で先生から「こんなところで遊んじゃダメです!」と怒られて、「はい。すみません」で終わるんですよ。
ところがこれで終わらなかった。それを知った親が怒り出して学校に抗議をする。指先をちょっと火傷するなんて、よくあることじゃないですか。でも、焼却炉のような危険な施設を学校に置いておくとは何事だ、と焼却炉の撤去を要求したという。

大西:流行のモンスター・ペアレントというやつですか。

向後:そうです。よくご存知ですね。あと、病院に文句を付ける「モンスター・ペイシェント」もいるんです。なかなかすごくて、すいてるからといって、夜間外来に来たり。

大西:救急でもないのに、ってやつですよね。

向後: 37度くらいの微熱で子供を連れて来る。連れて来ることができるのだから大したことないんですけど、「あなたたちはケアする人なんだから、診る義務があるでしょう」と、一方的にワーッと言ってくるんです。

大西:信じられない。これは世代の差なんですかね。

向後:30〜40代から僕より上くらいの世代もいます。モンスター・ペアレントなどもそう。だから、世代論だけでは捉えきれないかもしれません。

大西:世代としては、私なんかもその中にいるんですよね…。

向後:多分、大西さんはしないと思うんですけど(笑)

大西:何でそうなったんですかねえ。

向後:これは課題ですね。80〜90年代あたりから、「日本人も自己主張すべきだ」という風潮になっています。ところが自己主張といってもルールがあるわけで、いびつな形で日本に移入されてるのではないかと。
たとえば自己主張やディベートをしますよね。異なる意見をぶつけ合い合意せずに終わっても、面白くディスカッション出来たということで、アメリカ人などはOKなんです。 ところが多様性の尊重が日本にはないですね。モンスターさんの自己主張ってのは、主張を無理矢理通し、相手を徹底的に降伏させようとする。
僕が留学中の面白い体験ですが、我々の世代では有名なマイケル・カーンという先生の授業に出たんです。 まだ僕が大学院の1年生だった頃。渡米したばかりで英会話もうまくなくて、端っこでちょこんと座って、少しビビリながらもミーハーチックに「あれがマイケル・カーンかあ」と仰ぎ見てたんです。
そしたら、マイケル・カーンが説明してる時、一番前の席にいたアメリカ人学生が手を挙げて、「あなたの意見に反対です」と言い始めた。 僕は「これはヤバイことが起こったよ」と思いました。マイケル・カーンが怒り出して、「テメエ、10年早い。外に出ろ!」なんて怒るのかと思ったら、「じゃ、こういうクライアント(患者)をどういう風に解釈するんだ」と、ディスカッションを始めるんですよ。
日本の感覚では、大学院の1年生の分際で図々しいですよね。だけども、「10年早い」とは言わずにちゃんと話を聞く。 やはり意見は噛み合わないけれど喧嘩にはならず、「いやあ、面白いディスカッションだった」で終わる。それを見た時に「ああすごいなあ」と思って。 本来自己主張とは、主張はするが違う視点もあることを尊重するんです。さっき出たモンスター・ペアレントの例の「焼却炉を撤去せよ」みたいなのは、本来の自己主張ではないと思います。

大西:自己主張は、むしろして然るべきと思います。それならストレスも溜まらない。反対意見があるのに唯々諾々としていたら、絶対にストレスが蓄積する。 「自分はこう思う」と主張して初めて、自分の意思を相手がどう解釈してくれるか、という話になる。
一個の人間として相手を尊重していれば、自分に同調しないからこの人はダメだという考え方にはならないでしょう。

向後:本来そうですよね。どうしても「僕と同じ考えになるべき」となったら気持悪いもんね。

大西:同調する人間同士が仲良くなる傾向は仕方ないですが、恋人同士でも、意見の相違をむしろ、「あっ、そういう風に考えるんだ」という風に認めればいい。友達でも仕事でも、私は常にそう考えるようにしています。
人と接する時に何が楽しいかというと、「最終的に自分はこっちを選ぶけれども、そういう考え方もあるんだ」と、自分とは違うものの見方や生き方を知ることが出来る。それが3人いれば3倍、思考の幅が広がる。物の見方がグローバルになるのではないでしょうか。

向後:違いを違いとして面白く見られるというのは、本来は新しいものを生むんです。なのに、「みんな同じじゃないとダメ」っていうのは、気持ち悪く居心地悪いですよ。同調圧力が強くなり過ぎて追い込まれるんです。
学校だけでなく、最近は「職場いじめ」なんてバカなのもあって、ホント子供みたいなの。ある人が会社に行ったら、自分の席がなかったとかね(笑)

大西:もう、ホント子供じゃないですか。

向後:ある人からそのことを聞いた時、僕も大西さんと同じ反応で、「子供みたいじゃないか」って怒ったんですよ。 そしたら、それ1件だけじゃなかった。全く別の所で同じような話を聞いて、「えっ、流行ってるのか?」と思いました。

大西:私がもし当事者だったら、笑っちゃうかもしれないですね。よくここまでやるなと…。

向後:笑い飛ばせるようなら強いですよ(笑)

大西:結構図太いと思います(笑)

向後:笑っちゃうというのと、先程の「自己主張を溜め込まない」というのはすごく大事なことです。いじめに遭って「ああ。私がいけないんだ」と自責する人が、パニックや鬱になるんですよ。
いじめる側は上位に立って支配したいんです。でも「バッカじゃないの」と笑われてしまっては、上位に立てない。いじめられる側が下位にならない。 ハラスメントをする人は本当は臆病な人が多いんです。怖いから攻撃する。なのに満面の笑みで「ワハハ」って笑われたら、ハラスメントをする気力が萎えてしまうんですよ。

大西:そういう場合、「もっといじめてやろう」という気にはならないんですか?

向後:そうなる場合もありますが、笑い続けたら、「この人ヤバイ」「何も通じない」と、やる気が失せていく。

大西:私は実はすごい小心者だと思うんですよ。多分、仕事で身についたのでしょうが、人の顔色をうかがってしまうところがあって。 良くも悪くも人に見られる仕事なので、誤解されたり言葉選びが不適切だったりすることもきっとあると思います。 でも一人一人に会って話をするって機会はほとんどなく、そうすると噂が一人歩きして、火のない所に煙が立って。 それを気にしてると身がもたないと思うんですよ。「私、こんなことやってないのに」「こんなこと言ってないのに」とか。 だから、「言いたい人は言ってればいい」「私はそうじゃない。自分の中に自分の正義はある」という風になっていったんじゃないかと思うんです。

向後:そうかもしれないですね。大変ですよね。何万・何千万人が見てるのだから、誤解されたり、「火のない所に噂を立てていく」人達もいたりするんでしょうね。

大西:意識し過ぎて、「ああじゃない、こうじゃない」と煩悶して、悲痛な叫びばかり心の中に溜め込むようになったら本当にダメになると思うんです。 どうしても限界があることに気づいて、「だったら言いたい人には言わせておけ」となっていったんでしょうね。

大西結花さんインタビュー

向後:いつ頃悟られたのですか?

大西:この仕事を始めてすぐだと思います。16歳くらいですか。

向後:16歳とは大したもんだなあ。

大西:憧れていた世界なのでイメージしていたものはありました。どんな分野でもそうでしょうけど、こういう仕事だと思って入ったら、実は違ったと。 私達の場合は常に人目にさらされているから、もっと違いが表れるのでしょう。 私の頃のアイドルというのは、イメージを作られていますから、自分のなりたかった、やりたかった、表現したかったものと、まるで違ったりするんです。それを「あんな歌」「あんな格好ひどいよね」「ダサイよね」とか、否定されることもあるんです。 そういうことがあると、「こんな格好したくて着てるんじゃないけど、仕事だから仕方がない」と、その葛藤を説明しても無理だとなって。
嫌なら辞めようというのもあったんですが、契約で縛られているので契約期間はちゃんと与えられた仕事は全うしなければいけないので辞めるに辞められない。こんな格好を笑われているとわかった時に、「じゃあ、これはこういうもんだと思うしかない」と開き直ってフラストレーションに耐え抜くようになりました。

向後:大したもんですねえ。10代で。大西さんのような対処が出来ればいいけど、出来なかったり、アドバイスしてくれる人がいなかったりで、鬱々となったり。 それと、大西さんなりのストレス発散法はありますか?

大西:10代の頃は何もありませんでしたが、車の免許を取ってからは、とにかくドライブをすることでした。 一人でも、夜中でも、「あーもう、どこか行きたい」と思い立ったら、行く当てもなく自分が行きたい方向に向かう。 「海に行きたい」と思ったら、好きな音楽CDをかけ、好きなルートを走って、すっきりして帰ってくる。

向後:ああ、いいですね。あんまり考えないで感情だけを発露出来るというのが。 そういうので発散出来ると思います。 僕なんかもね、「ストレス溜まらないでしょ」と言われます。でも一応溜まるんですよ。ナイーブですから(笑)

大西:私も、「いつもニコニコしてるし、悩みないでしょう」って、ずーっと言われ続けてますね(笑)

向後:そうでしょう。ひどいよね(笑)

大西:ちゃんと暗いし、ちゃんと悩むんですよ(笑)。ただ、悩むにも限界があって、これ以上悩んでも答えが出ないとか。

向後:その割り切りがいいですねえ。

大西:私は本当にいい加減なので、ちゃんと物事を全うして考え抜くということが出来ないんです。

向後:悩みというのは同じところでグルグル回り始めるのですよ。「なんで私ダメだったんだろう」「どうしてあの時、こうしなかったんだろう」と、一所懸命エネルギーを使って、同じところを循環してるんです。
だから、大西さんのようにスパッとした割り切りみたいなのが出来るとね。

大西:自分が選んだのだから、「何でああいうことしちゃったんだろう」「何でここ選んじゃったんだろう」とすごく悩むんです。でももう過ぎたことだから、悩んだところで時間は戻せない。選んだ時点でそうなったからもう無理だと。それで、これからどうすべきかの方向にスイッチしちゃう。

向後:すごいですねえ。僕は、クライアントさんにアドバイスする時に、こういうことを言うんです。 「何々しなければいけない」じゃなくて、「何したいのか」「どうするのか」が大事だよと話してるんです。 あと、<いい加減>というのも素晴らしいなと思って(笑)

大西:いい加減過ぎて自分が嫌になりますけど(笑)。仕事でも、「これが片付いてないのに、またこれが来ちゃって」「これが片付けられないうちに、ああ、こっちも来ちゃった。どうしよう」「100%の力を注がなくちゃいけないのに、こっちも気になってるから」と。 でも結局は、右往左往しても片付かない。そうなっちゃったら一回仕切り直し!ってまずは放棄。トコトンまでグータラにするんです。 頭の中にずっとあってずっと落ち着かないんですよね。「あっ、1週間後に〆切だからそれまでにちゃんと返信しなきゃいけない」「これも書かなきゃいけない」「あれもやんなきゃいけない」と、常にハラハラしていたのを、もう全部ポイって放棄して。 それでもう、数日何も取りかからない。「ああ、また1日ダメにしちゃった」とか。そういうことをしばらく繰り返していると、期日の1日・2日前になると、「よし、まずはこれから片付けよう。これがいついつまでに・・」と・・・お尻に火が付いてやり始めるんですよね。

向後:そのグータラに出来るってのはすごくいいですね。

大西:いよいよ夜が来ると「あーあ、1日無駄にしちゃった」「この24時間寝ないでやったら、この5つの仕事が片付いたかもしれないのに」「ホントに私ってダメだな」って、グータラにしてると思い知るじゃないですか。

向後:いいねえ。スパッとしてて。

大西:「自分はダメ人間だ」と追い込むと、そこから這い上がらなければ、と思うので、まずこれを片付けようってなります。

向後:「何々しなけりゃいけない」と、休まずグータラせずでも、結局何も出来なかったりするじゃないですか。そうすると、自分を責めることしか残らなくなる。 だから1回グータラになるというのは、すごくいいですよね。

大西:そうなんですか?(笑)

向後:「自信を持っていい加減にするってことは、人間的成長だ」と、ある人が言ってました。「我が儘でいい加減っていうのは、自信を持ってやるなら、人間的成長だ」って。 要するに「こうでなきゃ、ああでなきゃ」で縛られて、そうすると視野が狭くなるじゃないですか。1回、グータラにすると、逆に色んなものが見えてきて、「まあ、そろそろやんなきゃな」みたいになる。 そっちの方が遥かに素晴らしいんだそうですよ。

大西:スケジュール通り真面目に動かすって、すごく大切だし、人に迷惑をかけないってことは、常識としてみんなわかってることですよね。 主婦なら、「朝起きて、支度をして、みんなを送り出したら家のことをやって」で1日が終わるじゃないですか。それに追われて、「うあーっ」ってなるんだったら、もう、いっそのこと一度グータラに放棄してみるといいと思って。旦那さんからは「ウチの妻は何やってんだ」、子供からは「お母さん何でご飯作らないの」と思われても、そういう勇気を持って、「今日はやりたくないから、やらない」って。

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