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さとう珠緒さんインタビュー
さとう珠緒(さとうたまお)PROFILE

女優、タレント。プチスマイル所属。1973年千葉県船橋市出身。
代表作品:スーパー競馬 (フジテレビ)(1997)  王様のブランチ (TBSテレビ)(1997)  ピカレスク (映画)(2002)  太田胃散 (CM)(2002)
テレビ:LOVE GAME 小悪魔な女になる方法 ナース&婦警 ナースマンがゆく すばらしき私の街
映画:ブラブラバンバン ヅラ刑事 いらっしゃいませ、患者さま GODZILLA FINAL WARS 釣りバカ日誌15

さとう珠緒さん

さとう珠緒さんインタビュー3

さとう珠緒さんインタビュー

さとう: じゃあ、私は独身なんですが、恋愛はどうですかね。恋愛って相手ありきで、自分だけじゃないから思い通りにはならなくて。
例えば、すごく好きな人が出来たけど、その人は私を好きかどうか分からない。やっぱりそういう場合も冷静に行動した方がいいんですか?

向後: 自分の状態に気付いているのは「怒り」も「好き」も同じで、エネルギーを100%出すのは可能です。恋愛の場合でも、「私、この人大好き」と自覚して、そのまま表現すればいいんだと思います。

さとう: 相手に迷惑かもしれないし、パートナーがいるかもしれないし、分からないじゃないですか。でも、怒りよりは表現しやすい。怒りは迷惑がかかるけど、「好き」はそこまで迷惑にならない。人によっては面倒くさいと思われるかもしれませんが。

向後: 好きだと言われて、嫌な気はしないですよね。
変な話ですけど、僕、ナンパされたことがあるんですよ。サンフランシスコの学校でうまくいかなくて、バス停でポツンと一人でいたら、一人の白人男性が来て。

さとう: いやあああ。怖いよお。

向後: 「どっから来たんだい?」と聞かれ、
「日本から」だって言った。

さとう: フレンドリーですね(笑)。

向後: 何ていい奴なんだろうなと思って、「アメリカ人もいい奴いるなー」と嬉しかったんです。そして最後に、「Are you gay?」って聞かれた(笑)。
それで僕はゲイではないので「No!」とお断りしたら、彼はそのままサーッと去っていった。その後、「あ、そうか。俺ナンパされたのか」と思って(笑)。

さとう: なんか、いろいろ冷静に見るとナンパされたみたいな(笑)。

向後: 確かに方向は違うかもしれないけど、悪い気はしてないなと思って。だって、僕のことを認めてくれたわけでしょ?それって僕だけでしょうかね。

さとう: そうかもしれないですね(笑)。

向後: ははは。
本当に好きだという感覚なら、相手に分かると思うんですよ。
それから、恋愛だけではなく大事だと思うのは、ちょっとした違和感みたいなものですね。
好きな人がいたら、疑いもなくいい感じだったらいいけど、最初の時点でちょっと変だな、と感じてる場合があるんです。微妙に変、とまでいかなくて、ちょっと身体の反応とか…。それってすごい大事なんですよ。

さとう: へえええー(驚く)。

向後: 例えば、「私、これだけ好きなんだから」と、ちょっとモヤモヤがあっても大体これを抑えてしまうんですよ。

さとう: モヤモヤはなかったことにしてる。感じないように。

向後: だけどこれは大事にした方がいい。実は、直感でものすごく気付いている場合があるんですよ。

さとう: 「こいつ違うんじゃないか」とか。おもしろーい。そうなんだ。

向後: もちろん体調やなんかでモヤモヤが出てくる場合だってありますが、毎回会うと嬉しいのにモヤモヤとなったとすると…。

さとう: じゃ、身体が「違うんじゃないの」と言ってるんだあ。

向後: 「このモヤモヤはどんなメッセージを私に伝えてくれてるのか」を、ちゃんと見る。モヤモヤにフタをすると、どんどん向こうのペースに呑み込まれていって、実は相手に妻子がいるのに「まあいいや」などとなってしまう。

さとう: 時間が経って、「ああ。あのモヤモヤはそういうことだったんだ」みたいな…。
頭の中では「こういう人が理想のタイプ」なのに、気持ちが一緒じゃない時があるんです。
「私バカだし、インテリでこういう人が好き」と思っていて、そして「あっ、いた!」と思って恋愛しても、あれ?心が「違う」って言ってる気がするとか。

向後: それ、素晴らしいじゃないですか。

さとう: でも大体ダメなんです。自分で拒否して、なんだかよく分からないままで終わったりして。心と頭の違いというのを恋愛でよく体験するんですよ。
頭では理想じゃない人なのに、好きになったりすることが、たまにあるんです。

向後: 「なんだか知らないけど、この人とならウキウキする。でも、絶対に私の理想じゃない」ってありますよね。

さとう: そうそう。それでいつも悩みます。

向後: それは簡単に答えは出ないけど、頭で考えているのが本当なのかをチェックするといいかもしれない。

さとう: なるほどねえ。実は違ったりして?

向後: 実は違うことがあります。本当に自分の中から出てきた理想なのか。あるいはどこかの価値観から押しつけられたものか。この辺は、非常に微妙なところなのですが・・。
例えば、こういう方もいます。「わあ、好きだ」と思って、「本当に好きだ。この人だったら」と思ったのに、友達からは「えっ?彼と付き合うの?」と言われたり。

さとう: うーん。言わないで!

向後: そうですよね。そんなこと友達に言ってほしくない。おまけに、「だって昔から、こういう人が理想って言ってたけど、全然違うじゃん」と言われてしまうと、「やっぱり違うんだ」となる。でも実はそういう感じの人が好きだったのかもしれないし。

さとう: 生きてきた中で一杯あるこだわりをどんどん捨てたいけど、やはり捨てられなくて。さっきのゲイの話じゃないけど、ひょっとしたら女性を好きかもしれないとか、「法律ではこうだけど、自分は違うかもしれない」とか、分からないじゃないですか。環境に支配されて、「女の子だからピンクが好きでしょ」とか。

向後: それを捨てるお手伝いも僕らはするんですが、捨てるのは大変なんです。

さとう: ホント大変。「こうはこうでなければダメ」って固定観念にいつも縛られてて…。

向後: それに気付くのも違和感だったりします。自分の中で本心と違うことをやっていると、頭ではなく身体のどこかがぎこちなくなってくるんです。ここからこの辺まで(首からももの付け根あたり)ですね。

さとう: えーっ!「ここからここまでがちょっとヤダ」となったら、敏感になった方がいいですね。

向後: そうですね。言うは易しなんですけど、変えていくんです。
僕も変えるべきところが一杯あって・・。
今年のテーマがありまして、僕は、自分で提案しておいて、「こんなことつまんないでしょ」と、つい相手に言ってしまうんです。

さとう: あー!分かる。私も、やってもいないのに、「くだらない」とか「やりたくない」とか言っちゃうタイプです。

向後: これは、僕の中の大事なテーマだな、と最近気付いたんです。「面白いものを面白いと言っちゃえばいいじゃん」と。

さとう: 分かっちゃいるけどねー。

向後: 分かっちゃいるけどやめられない・・・ですよ。

さとう: そうやって気付いた時点で解決に近づいてますもんね。

向後: これで、こだわりというものを全部なくしたのが「悟り」。

さとう: 「悟り」?ああ、そっか。神に近づくみたいな。

向後: 悟のは難しい。大体自分で「悟った」と言ってる人は悟ってないんですよ。
多分悟りには到達しないけど、こだわりを一生かかって捨てて段々近づいていくんでしょうね。気付いては捨て気付いては捨てと。捨てるのは結構大変なんですよ。

さとう: そうでしょうね。変化するって怖いし。なかなか自分が変わらなくて。

向後: 死ぬ夢を見る人がよくいるじゃないですか。あれって、捨てている時だったりするんですよ。

さとう: あ、死ぬ夢はいいことなんですか?

向後: 全てとは言いませんが、いいことだったりするんです。
生まれた時からずっと、捨てるプロセスはやってるんです。捨てては新しい価値観・世界観を創っていくのが、人間の心の成長だと言う人もいます。
生まれてすぐは、母子は全く一体。「お腹すいた」と言えばミルク。「おしっこ」と言えばオシメ。でも、ある時に自他の境界を認識して母親から離れていくんですが、それは母子ともに、一体だったのが否定されて非常に辛い。それがほぼ最初の執着を捨て去るプロセスで、そこからずっと続いていくんですね。

さとう: 辛いのを繰り返しているんですね。でも、その時は辛くても、また新しいものがきっと手に入るのでしょうしね。

向後: 捨てっぱなしではなく、捨てて新しい価値観を創り出すと・・・成長の段階は階段のようなもので、一つ階段を昇る。すると今までより、広く世界が見えるようになり成長していく。

さとう: じゃあ、捨てて良くなっていくんですね。

向後: ただ、捨てるのはホント大変ですから。
鬱やパニックなど精神的な病気になる人いるでしょ?でも僕らは、病気とは余り捉えていません。成長の階段を昇る時に混乱するじゃないですか。一所懸命成長しようと頑張っているから混乱する、という捉え方をするんですね。
僕自身の中学生の時を考えても、シッチャカメッチャカだったなと思います(笑)。

さとう: そうなんですか。先生もそんな時が。

向後: そうですよー。ひどいもんだったです。中学の12〜15歳は、「女の子は女らしく男の子は男らしく」と身体的に変わる。頭の構造も、抽象的な哲学や数学の幾何学などを理解出来るように変わります。異性への興味の向け方も変わってきますよね。それらはいっぺんに起こってきます。

さとう: だから、複雑になったり、反抗期が来たりするんですか?

向後: そうですね。混乱する時期ですし、反抗期が来たりします。
でも、それは当たり前だと思います。
僕らは、うつや不安などの混乱は、必ず収まり乗り越えて行けると考えています。そして、乗り越えて行くのをサポートするんです。
ただ、最初に言ったように、僕らがアドバイスしないのには意味がある。例えば、あまり手を出すと、ずっと頼られてしまうということが起こってしまいます。

さとう: 「先生がいれば大丈夫」みたいに思われる…。

向後: カウンセリングの目的は卒業ですから。
例えば、長年土の中にいたセミが脱皮するでしょ。殻が割れて段々出てくるのが苦しそうなんですよ。でも、絶対に人間が手を出してはいけない。ちょっと開けてあげようかなんて手を出すと飛べないセミになる。見て応援して、葉っぱが落ちてきたらよけてやるぐらいしかしてはいけない。

さとう: 自立が今一歩みたいな甘えん坊になっちゃうということですか。

向後: そうです。甘えん坊になっちゃうといえばそうですよね。

さとう: 面白いですねえ。優しすぎるというのも難しいところですね。深いなあ。

向後: 僕らも、つい言うことがなくなるとアドバイスしたくなるけど、大体、アドバイスし過ぎる時は、自分が追いつめられているんです。つい偉そうなことを言いたくなる。そういうことを言ってしまった時は、家に帰って反省ですね。

さとう: 人のことはよく見えるのに、自分が分からなくなるのはよくあります。私、特にそうなんです。どうしたらいいんですか。

向後: よく観察されているというか…。

さとう: 人に厳しく自分に甘い、典型的なダメ女なんですけどね。もっと自分を客観的に見ることが出来れば、私ももっと成長するのになあ、と思うことが多々あって…。

向後: でも、すごく客観的に見られているような感じがしますけどね。

さとう: いやあ、全然。どうしたらいいですか、先生。

向後: それは…。瞑想でもするかな。

さとう: 瞑想かあ(笑)。

さとう珠緒さんインタビュー

向後: 頭を空っぽにする時間を作ればいいと思いますね。有酸素運動なんかいいと思います。
そういえば、ダンスをやられてるんですよね。

さとう: やっていた時期があったというだけで…。じゃ、またやろうかな。そういうのを趣味にしたら結構いいですか?

向後: いいと思います。
週に1回ぐらい有酸素運動を徹底的にやるために、僕も週1回ボクシングをやっているんです。

さとう: えーっ!(驚く)先生、ボクシングが趣味なんですか。すごーい!

向後: 好きなんですよ。

さとう: 好きなの?意外です。ガーデニングとか読書とかしてそう。

向後: サンドバッグをガンとやってると気持ちいいですよ。そのあとビールを飲み過ぎるところがイマイチなんですけど・・・

さとう: じゃあ、リセットタイムなんですか?

向後: そう。リセットタイム。落ち着いた場所で静かな音楽をかけて、瞑想というか自分を見つめてみるみたいな感じで。
あとは、出てくる感情は否定しないこと。

さとう: それはダメだとか思わないで?それは認めるというか…。

向後: 受け入れる。

さとう: ちょっとおかしいなと思っても、とりあえず受け入れるんですね。

向後: そうすると、自分がどういう方向に行きたいか、段々と見えてきます。自分の考えで凝り固まっている部分を捨てて作り変えていくのを繰り返していく。
そんなこと言っても、自分のことは分かりにくいんですが。

さとう: あははは。先生が分からないんじゃ私も分からない。

向後: ははは。
で、気付いた時に変えていけばいいかなってことです。さっき話しに出てた〈違和感〉ですね。自分の中で嘘をついている部分があるわけですよ。
例えば、結構僕はエエ格好しいなところがあり、頼まれると全部やっちゃうとかあって。

さとう: いいことじゃないですか?それって、素晴らしいことですよ。

向後: あとでアップアップになって、やんなきゃよかったと。それで最後に断ると、「あなたのことは信じていたのに」とものすごく怒られて…。

さとう: そんなこと言われても(笑)

向後: だから、油断すると、僕はエエ格好しいして、いい人をやってしまうんですね。最近は、最初のうちに断るようにはしいてるけど、今までやってきたいい人のパターンのせいで断れないこともあって。
でも、自分の中で嘘が出てくるのに段々気付いて、最近は相当悪い奴になって楽になっています。それで段々ストレスがなくなってきて。

さとう: やり過ぎると自分が辛い、みたいな。
今日はすごいいい話を・・・

向後: 今日はどうもありがとうございました。

さとう: こちらこそ、お勉強になりました。すいません。逆に為になる話ばかりで。

向後: 珠獅ウん、すごく素晴らしい感覚を持ってるなあと思って。

さとう: いやいや。すごく楽しくて、まだまだ何時間でも話しちゃいそうな勢いで。

向後: いろいろ話してくれて、僕もとても楽しかったです。ありがとうございます。またいつでも来て下さい。

さとう: 「こんな役をやるんですけど、どう思います?」という相談か何かに乗って頂ければ。
恋の悩みもまた…。なんかあったらプライベートでこっそりここに来ます。恵比寿って場所がいいし、女性が来やすいですね。

向後: そう言っていただけると、すごい感激です。今日は、ありがとうございました。

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さとう珠緒さんとの対談を終えて

珠緒さんとの1時間の対談は、とても楽しいものでした。驚かされたのが、珠緒さんの心理学やカウンセリングに対してよくご存じなことです。珠緒さんのするどい質問やコメントには、しばしば冷や汗が出ました。また、聴き上手な珠緒さんに乗せられて、私もついついしゃべりすぎてしまいました。もっと珠緒さんのお話が聞きたかったと言う方には、ゴメンナサイ。しかし・・、幸せな1時間でありました。珠緒さん、ありがとうございました。

向後善之