カウンセラーの対談

第20回 道幸俊也氏、向後カウンセラー対談<第3回>

道幸俊也 プロフィール

道幸俊也氏 資 格
キャリアカウンセラー(CDA)、オンラインカウンセラー(JOCA)、MBTI認定ユーザー (Japan-APT学会)

経 歴
人材アウトソーシング会社に入社。業務管理などの経歴後、米国シリコンバレーにある関連会社へ赴任し3年間滞在。途中、日本能率協会米国支社のプロジェクトに1年間参加などをする。日本帰任後は新規事業を立上げ、その後独立しOffice C&Mの代表取締役となり、キャリア開発をメインに人事戦略コンサルティング事業を展開する。現在、社会人向け(企業・行政・NPO法人)に自己理解のセミナーを実施するとともに、複数の大学において非常勤講師としてキャリア開発教育の講義とカウンセリングを担当している。

 

インタビュー第3回

向後カウンセラー(以下 向後):あと、最近の就活で、必ず出てくるのが親ですよね。

道幸俊也(以下 道幸):まー、ほんとそうですね。

向後:親は、最近すごいですよね。なんでも、受験・就職・結婚というのが、親の3大事業だということを聞いて、びっくりしたことがあります。

道幸:親御さんの影響は、ほんとすごくって、例えば、ある地方に行ったときに、入学前カウンセリングっていうのをやったんです。我々カウンセラーはその大学の近くの定宿のホテルがあったのですけれども、で、いつもどおり泊まっていたら、1階のレストランで朝食をとりに行った訳ですけど、普段ガラガラなのに、その時はもう、満員で、周りを見てみたら、みんな受験生なんですよ。要は、その地方の国立大学の受験日だったんですよ。よくよく見ると、全部親御さん付きなんですよ。

向後:びっくりしますね~。

道幸:ビュッフェ形式なんですけど、子供はみんな、携帯でガチャガチャやっていて、お父さんお母さんが一生懸命お皿にご飯を盛り、子供のところへ持って行って、それで食べ、終わったら普通ウェイターさんが下げにくるじゃないですか。そうではなくて、お父さん達がそれを持って行って、ウェイターさんたちにぼーんとわたして、さーっと帰って来たと思ったら、「ヨーグルトはストロベリーソースとブルーベリーソースがあるけど、どっちにする?」、「飲み物はコーヒーと紅茶のどっちにする?」って子供に聞いているわけです。

向後:えっ、親御さんが?道幸俊也氏、向後カウンセラー対談

道幸:そう、親御さんが子供に。で、まあ、親御さんが取りに行くんですけど、ひとつのテーブルだけじゃなくて、全てのテーブルがそうだったんです。

向後:気持ち悪いなぁ!

道幸:僕らカウンセラーは、みな自分のご飯食べるの忘れて観察に入っちゃって、「これは、しゃれにならんよなー」って話したことがあります。

向後:んー。

道幸:それで、そういう風にして入って来た子達が、3年生4年生になって、お父さんお母さんからまあ、「自分のやりたいこと見つけないさい」って言われるんですよね。しかし、彼らもかわいそうで、今までさんざん敷かれたレールの上を歩いて来た訳ですから、考えるクセとうのが身に付いていないんです。言われた通りにやってりゃいいやって、これまでやってきたわけですからね。で、いきなり、聞こえはいいんですけど、「やりたいこと見つけなさい」、「自分の好きなこと見つけなさい」は、はしごを外されるようなもんで、彼らはいきなり途方に暮れて、「やりたいことがわからないのですが、どうしたらいいでしょうか」って聞いてくる訳です。で、しまいには、その親の気に入るところじゃないとだめだとか・・。

向後:「やりたいことみつけなさい」と言いながら、親の気に入るところじゃないとダメというのはダブルバインドなんですよね、それ。

向後、道幸:(笑)

道幸:そうですね。究極の例は、お父さんがリクナビに息子になりすまして登録して、お父さんが企業全部エントリーをして、息子に何月何日の何時にどこそこに面接を受けに行けとか、全部指示する訳ですよ。ま、それで、相談に来た訳です。「どうしたらいいでしょう?」って。よくよく聞いたら、お父さんは、どこかの会社の人事部の方らしいんですね。だから、お母さんも、「お父さんは人事のプロだから、お父さんの言うようにやっていれば、間違いないんだから。言うこと聞いておきなさい」って言うらしいんですよ。それで、こっちに駆け込み寺的に相談に来たみたいですね。彼は、「本人が選んでいる会社じゃないんで、志望動機は書けません」って言ってましたね。「そりゃそうやろ」と、「書けるわけないよな」という話です。

向後:ひどいですね、そりゃ。

道幸:そういうケースもあったり、逆に無関心すぎる、放任じゃなくて、完全に無関心なケースもあるんです。ある男子学生なんですけど、自分でがんばって第1志望を内定取ったんですよ。で、親に「実は、こういうところに決まったので」と事後報告したら、急にお父さんの顔色が変わって、そのお父さんは営業職だったんですけど、「お前には営業無理だから、そんな会社やめろ」と言われ、父親の目の前で内定辞退の電話させられたんですよ。それが、内定式すんでからなんですよね。

向後:それは、酷い。道幸俊也氏、向後カウンセラー対談

道幸:それでだめになっちゃって、11月頃に自分で動こうと思って、何とか奮起しようとしたんですが、気持ちが折れてしまって「どうしたらいいでしょうか」って相談に来たんですよ。もう、親御さんにまつわるケースは山のようにあります。

向後:僕もある大学で学生相談をやっていたとき、学生の母親から電話がかかって来て、いきなり「相談室ですかっ?!」って聞いてきたことがありました。相談室には違いないから、「はいそうです」と言ったら、「うちの子は、家から通えるところに就職させるんです。コマーシャルを打てるぐらいの大企業に勤めさせるんです」と、わーっと、息継ぎも無くまくしたてるんです。それで、やっと息継ぎになった時、僕が「すみません、ここ就職相談室ではなくて、学生相談室なんですが・・」と言ったら、「あっ、そうですか」って言って、ガチャンて電話切られちゃったことがあります。「すみませんでした」も何もないんですよ(笑)。コマーシャルを出せるような大きな会社って言う表現って僕らの時代にもありましたが、そういう表現ってばかにされていたじゃないですか?それを普通に言うってことで、びっくりしちゃったし、あと、就職説明会があったのですけど、それは500人教室でやるんですが、前何列かは、ほとんど親だったですね。学生達は、ふにゃふにゃ後ろの方にいて携帯いじってたりして・・。

道幸:ほんとにもう、大手志望ってまあ、学校の偏差値で選ぶ訳じゃないけど、どこかフィルターかかってますからね。大手なんて、実際日本の企業のうち2%なんですよ。98%中小企業ですからね。その2%に入るっていうのは、相当難しい訳ですよ。そんな無茶なこと言うなって感じですね。

向後:だけど、親御さんは「うちの子は、大企業に入るもんだ」て決めちゃっている。

(つづく)

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