本ウェブサイトでは、スタイルシートを使用しております。このメッセージが表示される場合には、スタイルシートをoffにされている、またはブラウザが未対応の可能性があります。本来とは異なった表示になっておりますが、掲載している内容に変わりはありません。

以下のリンクより、本文へジャンプができます。

HOME > カウンセラーの対談 > カウンセラーの対談 第44回

カウンセラーの対談「第44回 世古詞一氏、向後、青山カウンセラー対談 <第1回>」

第44回 世古詞一氏、向後、青山カウンセラー対談 <第1回>

世古 詞一氏(せこ のりかず)プロフィール

世古 詞一氏 株式会社サーバントコーチ代表取締役 株式会社VOYAGE GROUPフェロー。組織人事コンサルタント。月1回30分の1on1ミーティングで組織変革を行う1on1マネジメントのプロフェッショナル。

1973年生まれ。千葉県出身。早稲田大学政治経済学部卒。Great Place to WorkR Institute Japanによる「働きがいのある会社」2015、2016、2017中規模部門第一位の(株)VOYAGE GROUPの創業期より参画。営業本部長、人事本部長、子会社役員を務め2008年独立。
コーチング、エニアグラム、NLP、MBTI、EQ、ポジティブ心理学、マインドフルネス、催眠療法など、10以上の心理メソッドのマスタリー。個人の意識変革から、組織全体の改革までのサポートを行う。クライアントは、一部上場企業から五輪・プロ野球選手など一流アスリートまでと幅広く、コーチ・コンサルタントとして様々な人の人生とキャリアの充実、目標実現をサポートしている。
著書『シリコンバレー式 最強の育て方 ― 人材マネジメントの新しい常識 1 on1ミーティング―』かんき出版(2017年9月)

インタビュー第1回

座る椅子で大笑いの後

向後カウンセラー(以下向後):「はい、まあ、そんな感じで」

青山カウンセラー(以下青山):「ゆるく、お願い致します。」

向後:「エニアグラムを勉強されていたこともあるのですか?」

世古詞一氏(以下世古):「ええ、あの僕、エニアグラムは10年以上やってまして。」

向後:「ティムさん・よしこさんのところですか?」

世古:「ああ、そうです。よしこさんもティムさんもよく存じてます。あと、ラス・ハドソンとかのメソッドを読んで、それにもトレーニングに参加していたんですよ。」

向後:「ああ、そうですか。ティムさん、よしこさんとは、ずいぶん前からの知り合いなんです。」

世古:「はい、ええ、そうみたいですね。こちらを拝見させて頂いて(向後さんの「カウンセラーへの長い道 ?40歳からのアメリカ留学?」を鞄から出す)完全に熟読できてないんですけど、いろいろなアメリカ生活を…」

向後:「そうですか、ありがとうございます」

世古:「そんな感じだったんだなあ〜と」

向後:「そんな感じだったんですよ、こちら(青山)にイギリス…イギリスで」

青山:「ふふ。(笑)」

向後:「アートセラピーをやってる」

世古:「アートセラピー」

向後:「メインだけど、何でもやりますよね?」

青山:「(笑)何だか、はい。」

向後:「早速ですが、こちら(世古さんの「シリコンバレー式 最強の育て方 ?人材マネジメントの新しい常識? 1on1ミーティング」読ませて頂いて)

世古:「すごいですね、このカラー!(青山の付箋を貼っていたところを見て)」

青山:「そう見えると思うんですけどね。カラフルですからね、向後さんもきれいに」

向後:「いいよね、この何か、並びね。」

世古:「すごい、この(付箋の貼り方に)何か意味があるんですか?」

青山:「いや、私が使いやすく、あれ何だっけ?と、さっきのことは何だったと思い出す時にやりやすかったりするためにやっているですけど」

世古:「いや、すごい」

青山:「いや、でも付箋大好きなので、向後さんもたくさんね、貼られて、海みたいに。」

向後:「いや、貼り方が違う(笑)」

世古:「貼り方に上とか下とか、長さとか色とか意味があるんですか?」

青山:「あ、えーと、気分…」

向後、世古、青山:

向後:「アートですよね、アート(笑)」

世古:「アートセラピー(笑)」

向後:「僕のはアートなんかじゃないです。」

世古:「(向後さんの付箋の貼り方に)これはありそうな貼り方」

青山:「(向後さんのは)Well organizedで私のはDisorganizedで」

向後:「僕なんかつまんないエンジニアの」

青山:「この本にもあとで載っているようにカオスでございます」

向後:「いやいや、ちゃんとアートになってますよー」

青山:「そう言ってくださるのならありがたい限りです」

向後:「何しゃべろうとしてたんだっけ? 世古さんの本を読ませていただいて、いろいろなところが、カウンセリング的みたいだなと思いました。… 1on1ミーティングとか…」

世古:「ああ、そうですね。もともとコーチングから入って、私もいろいろとそういう心理学的なところを学んできたので、たぶんそこが自分の土台になっているなというのはありますね。今回の書籍は当初かなりの分量を書いて、コーチングスキルのようなものも結構書いていたんですけど、その辺はもうバッサリ抜いたんですよ。今回は、ベーシックに『型』というものに徹しました。深いスキルを書いていくと、こっちは楽しいんですけど、なんかちょっと万人受けしないというか…」

青山:「ああ、そうなんですか」

世古:「なんかね、そうそうそう。」

向後:「逆に、スキル的なことを書くとそれだけを見ちゃって…ってことはないですか?」

世古:「まあ、そうですね。一番にはページ数がちょっと足りなかったというところがあるんですけど、技巧に走り過ぎちゃうと、ちょっと何て言うんですかね…。なんか自己満過ぎるというか。」

向後:「そうですね」

世古:「というところもあって、今回、そういうのはあんまり書いてない。オーソドックスに書いています。ただ、根底にあるのはやはり、おっしゃられるとおりですよね。カウンセリング的なということなのだと思いますけどね」

青山:「こんな上司がいたらね」

向後:「そうそう、あの逆ホウレンソウとかね。あれいいですね」

世古:「あれ、そうですね。そうなんですよ。実際にやっぱり私の周りのすごいマネジメントができている上司の人はこれがやはり上手いんですよね。」

向後:「考えてみたらやはりそうなんですよね。ちゃんと説明してくれてね」

世古:「そうなんです。これ、実は誰もそれをしなかったことについて指摘する人がいないんですよ。」

向後:「はい」

世古:「上の情報を、上司が下の人たちにちゃんと伝えてないね、っていう機能がないから、だから隠れたミスなんですよね。」

向後:「そうですね、あれはね目から鱗で、もう僕は会社員時代さんざんホウレンソウホウレンソウって…、初めて聞いた時わかりました? あれ。」

世古:「まあ、もう割と一般的な言葉になってましたから、僕らの頃は」

向後:「そうかそうか。僕は、会社ってところは、社員の栄養まで気を遣ってくれてんのかなって(笑)」

世古、青山: 大笑

向後:「いや、ほんとわかんなかったですよね。?でね 知ってました?」

青山:「えーと、ええ、高校の時の担任が、『ホウレンソウ』私もするから、あなたたちもしなさいって言われて、この担任の先生が言ってたのが初めて」

向後:「そうなんだ」

青山:「その時はみんなでかったるそうな顔で、何ホウレンソウ?…って」

向後:「僕は会社員の時になって知ったんですよね。でも、それは知っていなきゃいけなかった常識なのですね?」

世古:「そうですね」

向後:「だけど、上司が逆に報連相をしてくれると、自分がやるべきことの展望が見えてくるように思います。」

世古:「そうですね、今まではいわゆる上司たるもの上司所以に情報をたくさん持っているところで、ある種の権威付けされていたのが、まあだからちょっと隠したい訳ですよ。あまり、上の情報はオレが握っていて、下に出す、出し過ぎちゃうとなんかこう、自分の価値がなくなっちゃう、みたいなところもあったんですが…」

向後:「そうですね、うーん」

世古:「まあまあ、今、それをやっている上司というのも、あまり評価されなくなってきてますね。今はネット時代ですし、もうかなりオープンにやっていくというのが大事になってくるんですね」

向後:「だいぶ変わったのですかね?」

世古:「すごく変わってきていると思いますね。」

向後:「僕が会社員時代だったのが90年代ぐらいの始めくらいまでなのですけど、あれですよね、何も説明してくれなくて、例えばね、最後の僕の仕事ってね、15%の工事費削減なんですよね。で、すごい金額なんですよ、石油があれだったから。」

世古:「そうですよね」

向後:「だから、社長が要するにね、15%削減っていうから、『何で15%削減なんですか?』って聞いたらね、『上から言われた』と。」

世古、青山:

向後:「なんかそんな感じで課長さんから部長さんでしょ、部長さんは部長さんで『根拠は何でしょうか?』って、会議があったからちょっと質問してみたのですよ。そうしたら結局、『上から言われた』って。で、結局なんだか知らないけど社長は15%削減っていうかたちになって、まあ業界的に15%くらい削減しないとやっていけないっていう話になっていたのですけど、下々のものには一切の説明がなかったんです」

世古:「説明がないんですよね、で、それだと今の若い子はもう動かないんですよね。だから、その最近モチベーション革命という尾原和啓さんの書かれた本があって、その中でマーティン・セリグマンが5つの幸福の欲求と言っている話の中で、それが下の世代、それが36歳くらいを境にこう、上と下で割と欲求というのが変わってきているっていうのが、そういう話をしていて」

青山:「36歳…」

世古:「まったく来年になったら37になるんですかね?」 向後、

青山: (大笑)

世古:「まあ、だいたいですけど。要するに幸せを感じるための欲望が5つあって、快楽、達成の欲求という2つが上の世代が重視している欲望。要するに達成することで出世したりだとか、お金持ちになるぞとか、美味しい食事とワインをとか、まあ男だったらこう、『いい女を』とか、みたいな、そういうものでモチベートされていた世代で、だから『出世しろ、とか達成しろ』で動いていた世代なんだけど、今は、そもそも人間関係、どのように良い人間関係を築けるかっていう、まあ、たぶん否定されないかとか居心地の良さとか、そういう感じのところだと思うんですけどね。それだとか、あと『意味合い』ですよね、今言ったように、ただ『やれ』だけじゃ動かない、『何の為にやるんですか?これ』っていうところが納得しないと動けない、あと、没頭、フローですよね。活動自体を楽しんで行える、はまれるという感覚が大事なんですね。」

向後:「フローですね」

世古:「フローがあると、『これ、ああ、面白い!』って気分でやれる、好奇心をもってやれるように、仕事を、どう見せられるかとかマネジャーは考えないといけない。たぶん、今の20代30代はゲーム世代ですから、ゲームしてるときすごい没頭しますよね。…みんなやってますから、だから本当に…」

向後:「みんなやってますよね〜」

世古:「みんなやってますよね、本当に。だから没頭するんですよね、あれ。ジャンクなフローですけど、まあ。やっぱりそういうのを理解してから次にしないと動かないっていう、だから意味合いとかも説明しないと、『逆ホウレンソウ』しないと、これを一体何のためにやるのかって『こうこう、こう』って言わないと動かないんですよね。」

青山:「ふーん」

向後:「36歳っていうのは何なんでしょうね?」

世古:「何なんでしょうね?、それはあまり研究がわからないですけど、あとその下の世代を『乾けない世代』とその本では言ってました。」

青山:「乾けない世代?」

世古:「つまり、上の世代は何かしら乾いていた、要するに足りないものや欠乏感があって欲求があったんですよ、いろいろな」

向後:「そうですね」

世古:「(それに変わって今は)『満たされた世代』で、乾こうと思っても乾けない世代の子たちというところの差が大きいみたいですね。 まあ物質的にというのが一番大きいんでしょうけれど…」

向後:「満たされちゃうっていうことですか?」

世古:「はい、そうですね。満たされちゃっているといううところが大きいんでしょうね。」

向後:「だから、『何が買いたい』、『何が欲しい』とかね、ないわけよ、結果。昔ね、あの、なんだっけ『三種の神器』って言われていました」

世古:「そうですよね、3Cとかで」

向後:「そうそう、クーラーとテレビ…」

世古:「カラーテレビ」

向後:「カラーテレビ、あと、カー(車)だ」

青山:「今、(若い世代は)みんな車も欲しがらないってっ言いますしね」

世古:「車もね、シェアですからね」

向後:「そうですね、カーシェアリング」

世古:「そうです。ブランド品もシェアリングですもん。」

向後:「バッグもシェアリング?」

世古:「そうそう。そうですよね」

向後:「ああなっちゃうと 欲しくないですよね、別にね。」」

世古:「そうですよね、だから『所有がダサい』みたいな…」

向後:「ああ、今はそういう風になっちゃっているんだ」

世古:「そんな感じの空気も、まあ、ちょっとありますかね。」

向後:「面白いですね、あとご本の中で、『成果主義はもう終わっている』みたいなことを書かれていますが。それは、最近感じることなのですが…」

世古:「はい」

向後:「あれはどういうところから出てきているの?」

世古:「成果主義が終わったっていうのは、まあ、そうですね。一般的にもう成果主義っていうのが結構、破綻しちゃったっていうのがありますけど。それに合わせた何か関わり方っていうのが必要となってますよというところだったと思うんですけどね。」

向後:「確かそんな感じのところで書いてありましたよね。」

青山:「ええ」

向後:「あれ読んでて、だからもう成果っていうのはね、そんなにこう何か営業成績がバーッと上がるとかさ、突然バーっと売れるとかっていうのはさ、ゼロではないかもしれないけど、全体的にみたらそんなに多くないですよね。」

世古:「まあ、そうですね。」

向後:「成果で釣ってやれよって言っても、やりゃあしないだろうしっていうことで…」

世古:「そうですね、だけど成果ってやり過ぎると、まあ、ハイリスクに、ハイリターンになる分だけ、ハイリスクも存在しなければならないですし、それについてこれるかっていうのと、それに原資が出せないですよね。」

向後:「そうですよね、それをやれって、成果を出せって言ってもやりようがないなっていうところで…だから変なブラック企業とかだと、未だに一生懸命成果を出さないきゃ!って言うんで、ちょっと菜種油を絞るような感じですよね(笑)。」

世古:「やってんですよね。でもどんどんどんどんその、ここ本当に1年、2年で、グッてその残業なり、働き方改革なり、まあその辺がグッと来てますから…本当にその残業ももう、どんどんできなくなってきていますし、働く時間がすごく短くなってきちゃっている中で、成果とかもね、出さなきゃいけないんですけど、もうこれからどうなっていくのかっていうのがねえ、本当に。この前も、電通行っている友だちと話をしていて『今、どうなっているの?みんな、騒ぎになって、騒がしているみたいだけど…。やっぱり『いや、あの通りだって』と『残業してないし』みたいな、まあ残業するものは多少は残業しているのかもしれませんけど…。』

向後:「電通さん? ああ、そう。」

世古:「電通が、もう、結構槍玉に。象徴的に槍玉にあげられてやっていますから…」

向後:「例の事件でね」

世古:「『その時間で今までみたいな成果出せるの?』みたいな話をしたら『いや、難しいんじゃない。』っていう風に言ってましたけどね。どうなるかわからないですけどね。」

向後:「まずいですよね、何かね…。ふーん。いや、バブルの頃にもね、一時期あったのですけど、あの要するに、時短運動っていうのがあって…」

世古:「ああ、はい。」

向後:「もう、残業やめなさいって。日本人は、もうけすぎだ、働き過ぎだって言われて。有名人が、海外のホテルを買ったとかがニュースになる時代でした」

世古:「本当にバブルですよね。あの時代は」

向後:「そうですね、あの頃急に、働きすぎはいけませんということになって、残業をパターンとやめるようになったんですよね。そういう時期がね、80年代の終わりだったと思うのですけど。」

世古:「へえ、あ、本当にですか。形骸化とか、体裁だけじゃなくて?」

向後:「うん、実際に多くの会社でやりました。ただ、当時からサービス残業は、当時の情報部門で多かったですね。でも、そのほかの部署では、パタッと残業が少なくなりました」

世古:「へえ!」

向後:「僕は石油会社だったのですが、それまではね、何かね、夜遅くまで残業するのが美徳という感じがありました」

世古:「美徳。ええ、はい。」

向後:「で、残業代も出ていたのですよ。みんな残業代もあてにして、バブルですから、どんどん給料も上がってきて、それで残業代をあてにしていた人も多かったのですが、それが欧米からJapan as No.1と言われ、働きすぎだと批判を受け始めて、もっと余暇を利用して、でワークライフバランスがどうのこうのっていうのが始まって、そうしたらね、これからはね、残業しないのは良い社員だって話になって、急に(向後さんが)褒められちゃって。今まであまり残業しないで『なんだ!あいつは!』って言われてたのに、『向後くんは要領がいいねえ』とかってね。(笑)それが何年か続いたんでしょうね、まあ、その後辞めちゃいましたので、その後のことはわからないのですが・・・。今はそのあたり見る影もないですよね。みんな夜遅くまでサービス残業してみたいな感じになってますね。でも、確かに一時期あったんですよ、『残業なしにしましょう』みたいなね」

世古:「へえ」

青山:「その時に上司の人がこんな感じ(世古さんの著書にある)の上司の方だったら…どうかしらね」

向後:「いや、もう、そういう感じじゃなかったから」

青山:「ねえ」

向後:「アメリカから言われたから、政府から言われたから、トップダウンでやりましょうっていうみたいな感じで…」

世古:「ええ、ええ」

青山:「『逆ホウレンソウ』もなく…」

向後:「全然ない、全然ない」

全員:

向後:「それでなくなったんですよ。でもあの時はね、あの時は実際カラ残業的なものが多くて、こんなこと言ったら怒られちゃうけど、ちょっとこの懐に公明正大に残業して頂くみたいなね、感じがあったから、あれが減らすのはそんなに難しくなかったですよね。」

世古:「うんうんうん」

向後:「でも今はちょっとどんなんでしょうかね、って感じですよね」

世古:「でも、まあちょっと、結構波は来てますよね。本当に残業とか働けなくなってきているっていうのは、もうどんどん。ある種、締め付けですよね。」

向後:「締め付け…」

世古:「そう、『ダメよ』っていうかたち。だから帰らざるを得ない。まあそれでも、その後に家に持って帰ってやっている人っていうのは、結構いると思うんですけど…」

向後:「ああ、そうなのですか。そりゃ、いるでしょうねえ」

世古:「まあでも徐々に徐々に、そういう考え方は浸透してきていると思いますけどね、やっぱり。プライベートをもう少し充実させるとか、いわゆる欧米というか、そういった考え方が…」

向後:「そうなんですね」

世古:「それは確実にきているんですよね」

青山:「でも、この本に書いてあったとおり、何かこう、上司の人たちが自分も同じように育てられ、接してきたから、自分がこういう(本にあるような)風にできる力がある人っていうのは柔軟だなと思うんですけど、でも結構こう、厳しく厳しく昔ながらのやり方を受け継いできた系の上司の方では、なかなかこう柔軟に変えられない人が、本当はすごく抵抗ありながら、『体調はどう?』みたいな、なんかこう、苦手な気持ちで取り組むこともあるんだろうなって…」

世古:「そうですね。だからたぶんね、40代、50代っていうのは結構大変だと思いますね。ちょっと手前のお話からすると、最初の、冒頭のところにも書いてある通り、要するに今、社内、会社とか組織とかで行われているコミュニケーションはふたつです、と。で、いわゆる、何かの目標達成するための短期的な結果を出すためのコミュニケーション、「この案件どうなっているの?」とか、それもホウレンソウしたりとか、上司と話をして、巧くつめてやっていったりしますよね。まあそういうコミュニケーションはすごく、結構されているんですよ。すごくコミュニケーションとっているよという人も、そういうコミュニケーションをしているよ、と。なぜなら、目標達成が必要だから。でもなされていないのは、部下に対しての対話ですよね。この子は今どういう風に考えていて、将来どういう風にやっていきたいのかみたいなことを…という時間を、今の話にあったように残業時間が減ってきて、営業時間が少なくなってきています。そうすると第一にやらなければならないことっていうのは 目標達成の会話っていうので、一応、これを『情報交換』って言ってますけど、対応していて、それをやらざるを得ない。それで最近は飲みにも行かなくなっているくらい。」

向後:「そうですよね」

世古:「飲みにも行かないし、若い子に聞いたら、たまに飲みに行っても仕事の話をしない子が多い、なんか、公私を分けるというか、ちょっと野暮な感じというか。あとまあ、タバコ部屋もなくなってきている。タバコもそんなに吸わなくなってきてますからね」

向後:「あそこはね!」

世古:「そうなんですよ。あそこはリラックスして」

向後:「貴重な情報交換の場ですよね。」

世古:「そういう中からいろんなアイディアが生まれたりだとか。意思決定の場になっていた訳ですよ、あそこが」

向後:「そうですよね。」

世古:「それもなくなってきている。だから、要するに個人のそういったコミュニケーションだとか、仕事の話でももうちょっと中長期の話とか、そういうのをする場、時間がなくなってきているんですよ。」

向後:「そうですよね」

世古:「そうすると、もうその、ホウレンソウだとか、どのクライアントをじゃあ、攻めようかとか、そういうのってこれからAIとかで、いろんなデータ集積があって、『ここいったらいいよ』とかって弾き出されてくる。上司のいろいろな経験値の中から『こうした方がいいんじゃない?』ってたぶん話していたものって、ある種のみんなの知を重ねてれば、たぶんできる。ドラッガーがそういうようなことを言っているんです。『情報交換というのはコミュニケーションではなく記号のやりとりに過ぎない』って」

向後:「そうですね。」

世古:「記号のやりとりの部分はAIでできる。けれど、こっちの部下との対話、まあ共感するとか、そういうところがこれからの上司の付加価値よっていう、そこまで書いてないですけど。つまり、こっちの短期的成果を上げるための情報交換のコミュニケーションはもうたぶんいらなくなるよって。数字をまとめたり管理したりだとか」

向後:「はい」

世古:「だから対話のほうを定期的に時間とってやっていく必要がある。今の若手は意味合いがないと動かないし、辞めちゃう。それも前ぶれなく突然に辞める『びっくり退職』。一方で人が減っていって、若い子が減ってきますから採用難になってきます。ですから、企業は今いる人たちを、辞めてもらわずに、育てて成長させていかないといけないんです。だから、従業員が何を考えているかを聞いて、会社からも期待を伝えていく1on1の対話が必要。まあ、そうだよねって思うじゃないですか。」

向後:「なるほど」

世古:「で、結構今、割と(本が)売れてきているのは、そういった時流が結構今、マッチしてきているのかなと思いますね。今までもそういう考え方はあったのだけど、どうやっていいんやらっていうのが、意外とまとまったのがなかったので、それをHow toという形で今回書いていったということなんです。それで一回ちょっと戻ると、そのOne-on-Oneみたいなことをしましょうよってぼくが勧めても、なかなか行われないことがある。今まで面談っていうかたちのはやってきたんですけど、面談に対してものすごいイヤなイメージを持っている人ががほとんどなんですよ。だから1on1ミーティングも行われづらい」

向後:「そうでしょうね、もう査定ですもん」

世古:「査定です。面談イコール評価の場」

青山:「評価の場、ですよね」

世古:「そこにもう、バイアスがかかっちゃっている。だから『一対一で話す=評価される』だし、で、それ以外の面談する時って『ちょっと良い?』って呼ばれる時なんですよね。そういう時もあんまりよくないことだったりするのでドキドキする」みたいに、上司と1対1で話すことにいいイメージがない。

青山:「『注意を受けるのかな?』とかそんな感じしますよね」

向後:「何か間違ったことをして…」

世古:「そう、苦手意識がありますね。なんかヤダなっていう感じの。そういうのでなかなか面談されてこなかったっていうのを、まあちょっと1on1ミーティングって、ネーミングを変えて、もっとカジュアルにやっていく。内容も評価だけじゃなくてって、いうことをやっていくことで、コミュニケーション、対話が進んでいくんだろうなっていうことなんですよね。」

青山:「上司もやっぱりまた興味をもって聞かない限りは、こうマニュアル的に一応やるっていうと、何か聞かれる方も『無理しているんだろうな。本当はそんなこと興味ないんだろうな。とか。私の好きな食べ物聞いたところで絶対忘れるんだろうな』って、こう思うかもしれない。やっぱり興味もっているかもしれない、その上司のちから、人間力っていうのが必要になってくるかもしれないんだろうなっていうのもそうですし…」

世古:「そうですね。」

青山:「あと、英語っていうのも一番最初にHow are you?っていうのから来るから、もう体調面聞くじゃない。最初のスタートって。」

世古:「ふーん。そうですね」

青山:「やっぱり挨拶がてらにどう?って。やっぱり言語も日本語と違ってこう、公平さが出てくるからね。やり易かったりするのかなって思うんですけど。ね」

向後:「そうですねえ。」

青山:「そういう風にマニュアルみたいなものがしっかりあると、そのベースに沿って聞いていけばいいんだなと、やっぱりやりづらい上司の人からすれば、結構ね、こういう順序でなるほどねって、こう聞いていけばいいかなって」

世古:「グーグルの人とかに「どうやってやってるの?」ってヒアリングしてきたんですけど、まあ誰に聞いてもそんなのはね、その人が思ったことを言うんだって、その雑談を含めてやるって。そうみんな適当にやっている訳ですよ。で、アメリカ人にはあまり、これをこうやってこういう風に話すっていう発想がないじゃないですか」 向後、

青山:「ないない。そうですよね」

世古:「これが日本人になると。やっぱり日本人はこれがないとできないの。まずマニュアル、じゃあ1on1、確かに必要ですよ、わかりました、理解しました、じゃあどうやるのですか?って。なんかマニュアル下さいみたいになるんですよ」

青山:「ああ。だからきめ細やかに、お菓子を用意したりしてね。何でしたっけ?ボール」

向後:「クッシュボールとかって。あれいいなあって(笑)」

青山:「ここまでね、やはりあるとやりやすくなるのが日本人なのかなっとかね。」

世古:「大きく面談とこの1on1ミーティングで違うのは、一番最初にも書いてありますけど、今までの面談って、やっぱりどこか上司の為のものだったんですよね。いわゆる会社のためのもの。上司の仕事として、評価をしなければならないから面談を行う。だし、『ちょっといい?』って呼ぶのは上司だし、上司が聞きたいことを上司が指摘したいことを言う場なんです。でも1on1は部下のための時間ですよっていうことなんですよ。頭ではたぶん理解できたとしても、これがやっぱりなかなか、難しいというか、部下のための時間と言われても…」

向後:「どうしていいか、わからないかもしれませんね」

世古:「やっぱりね、いろいろ喋っちゃうわけですね。言いたくなっちゃう。良いことを言いたくなっちゃう、よかれと思って、アドバイスして。それがなんか付加価値だと思うから…」

向後:「ははは!」

世古:「それで、どんどん喋っちゃって、『オレ、今日良いことしたな、良い仕事したな』って言えば言うほど、部下はまあそうですねって、シュンとしていく。エネルギーがちっちゃくなっていく。まあたしかに正論なんですけど。。って」

向後:「カウンセラーの、特に見習いカウンセラーがやる失敗ですよね、そのクライアントの沈黙とかそういうのに耐えられなくなって、ペラペラペラペラ喋っちゃって、クライアントの時間を奪っちゃう結果になる・・・」

世古:「ああ、そうなってっちゃうんですね。」

向後:「あと、課題を評価するんじゃなくて、課題を見つけるっていう、課題発見というところもあるじゃないですか?」

世古:「課題、そうですね。まあ、アドバイスは求められたらするっていうのは良いんですけど、やっぱりこう、今どういうことで悩んでいるのかっていうことも、本人も気づいていない訳なんで。そういうことも結構あるので、要するにモヤモヤから始めるっていうことですね。普段は情報交換のやり取り、具体的なやり取りばかりなんだけど、抽象的な事柄を話してくださいっていう、モヤモヤから始めて、どれをどういう風に対応していくのかという話をして。そこで、『ああ、そういうことなんだね』って課題が見えてきたりするっていうところまでいければ、もうたぶん部下のための時間ですよね。そこまでわかればソリューションが見つけられるかもしれないし、上司が何か手助けをすることができれば一歩踏み出せるということがありますから。」

向後:「モヤモヤからね、そういう風にうまくミーティングが進んでいくコツとかっていうのは、何かあるのですか?」

(つづく)

▲ページの先頭へ