カウンセリング ハートコンシェルジュ > 役に立つ心理学コラム>不安からいじめへ
役に立つ心理学コラム「不安からいじめへ」
不安からいじめへ
(本稿は、カウンセラー'sブログより抜粋したものです)
今の日本の状況は、不安の要素がいっぱいです。
「学校に行ったらいじめを受けるかもしれない」、「会社ではパワハラを受けるかもしれない」、「いつか会社を辞めなきゃいけないかもしれない」、「年金をもらえないかもしれない」、「地震が起こるかもしれない」、「地球温暖化で、大変なことになるかもしれない」・・あげてみると、たくさんありますね。
どうも、この不安の要素は、どんどん増えていっているような気がします。
不安は、根本的な原因が取り除かれれば、普通は解消していきます。いじめのない学校であれば、安心して通えますし、年金をもらえることがはっきりしていれば、余裕を持って将来設計ができます。
でも、その根本原因の解決の方法が見えないとき、不安は増大し、しまいには、不安から目をそらすか、逆に非常に攻撃的になっていきがちです。
攻撃は、グループ規範を見かけ上強くする有効な手段です。敵が見つかれば、その敵を攻撃することによって、「一時的に」不安から目をそらすことができます。攻撃に参加している間は、少なくともグループに所属していることになるわけです。しかし、その所属意識は、「いつ自分が攻撃の対象になるかわからない」という、危うい強迫観念の上になりたっています。これが、いじめのメカニズムです。
グループ規範は、元々根拠が希薄なものです。トイレは行きたいときに行けばいいのだし、公園は子供が勝手に遊べばいいんだし、エライ人の思惑に沿った意見しか出ない会議などしないほうがいいし・・・というわけです。
でも、グループ規範が大きくなりすぎると、そうしたまっとうな意見は、ご法度になっていきます。まっとうで素直な意見を言ったら、他のメンバー全員から総攻撃を受けてしまう可能性がありますからね。
(向後善之)