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役に立つ心理学コラム「金魚との会話(6)」
金魚との会話(6)
幻覚や妄想をもつクライアントさんのケアにおいて、ご家族からのサポートは、重要な要素です。
ご家族は、クライアントさんの幻覚や妄想に混乱します。混乱だけならまだしも、「そんなバカなこと言うのはよしなさい」などと言ってしまう場合も少なくありません。
あまり強くそうしたことを言ってしまうと、幻覚や妄想のエネルギーの元となりうる抑圧された感情の出口がふさがれてしまいますから、良い結果を生みません。否定されることによって、幻覚や妄想が強くなると言ってもよいでしょう。
また、ご家族は、幻覚や妄想に対し、不安や恐怖を感じる場合も多いですし、家族としての恥の意識を持つ場合があります。こうした感情は、敏感なクライアントさんには伝っていき、それが新たな幻覚・妄想を生むことにもなります。
ですから、カウンセラーは、ご家族をできるだけ安心させるように、説明やアドバイスをしていく必要があります。ご家族の不安が少なくなっていけば、それだけ、幻覚・妄想のレベルは低くなります。また、ご家族に希望が生まれれば、クライアントさんにもその気持ちは伝わり、回復していく力にもなりえます。
ご家族の不安レベルを下げるためには、回復の状況を把握する目的で、専門家によるケアを受け始めてからの幻覚や妄想の頻度や程度を簡潔にメモしておくという方法があります。
例えば、幻覚の頻度が少なくなってくるという形で、回復の状況が見えてくれば、ご家族の不安も少なくなっていき、それが、クライアントさんによい影響を与えることができます。
(本稿は、カウンセラー'sブログより抜粋したものです)
向後善之(ハートコンシェルジュ・カウンセラー)