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役に立つ心理学コラム「同じ視線で−4(夢を活用する)」

同じ視線で−4(夢を活用する)

セラピーの現場で、夢が重要な役割をはたす事がしばしばあります。夢は、通常の生活の中で起こる変性意識状態で、その世界は人の深層の心理をなんらかの形で具現化しています。私は、自分のセラピーの中でそれほど夢のワークをしませんが、時にクライアントの夢に助けられて、セラピーが劇的に進展した事があります。

そのクライアントは20代のアメリカ人女性で、長期間続く抑うつ傾向と、ちょっとしたきっかけで感情のコントロールができない傾向がありました。また自傷行為もあり、彼女の手足には、爪でひっかいた痕や、あおあざ、えんぴつのような尖ったもので自分を刺した痕等がありました。セラピーの最初のセッションの時、私は、身体的な虐待も疑ったのですが、やがて、それはすべて彼女自身がつけた傷である事があきらかになっていきました。

彼女の自傷行為は激しいもので、例えば、皮膚だけでなく、肉の一部が剥がれるほど自分をひっかく事もあったし、壁に頭を打ち付けて大怪我をした事もありました。さらに、物(食器、花瓶、ノート型パソコン!等)を投げて部屋の中をめちゃくちゃにしてしまう事もありました。しかし、彼女は、その自傷行為や物を投げる等の破壊行為の詳細を、はっきりとは覚えていませんでした。また、彼女は、「自分の中に2つの人格がある」と言っていました。これらの事は、彼女が自傷行為の際に解離症状を起こしていた事を示していました。解離とは、なんらかの形で「自分が自分でない感覚ないしは経験」を持つという事で、この傾向の最も極端な例が解離性同一性障害すなわち多重人格です。彼女の場合、人格間のある程度の記憶・経験の共有があり、解離性同一性障害とは言えませんが、かなりの程度の解離があった事はあきらかです。

彼女とのセッションは、困難なものでした。セッションルームの中での彼女は、はにかみがちで口数の少ないおとなしい女性で、とても前述したような激しい自傷行為をする様には見えなかったのです。彼女の気分は、常に「いつも通り」、あるいは「普通」であり、自傷行為の中で表出したであろう激しい感情は、見られませんでした。ただ、時々自分の嫌いな人物について、顔をしかめながら話す事があり、その中に私は、彼女の怒りを垣間見たような気がしました。彼女は「嫌い」な理由について明確に述べることはなく、私は、彼女の嫌悪と怒りの対象がなにに向かっているのかつかみきれずにいました。そして、彼女の自傷行為+破壊行為は、2週間に1度程度の割合で、セッション開始後も続きました。

あるセッションの時、彼女は、自分が最近見た印象的な夢について語り始めました。その夢は、次のようなものです:

『私が2階にある自分の部屋でくつろいでいると、窓から、何人もの人達が侵入してきました。彼ら(男性も女性もいる)は、私の部屋の中で、なにか楽しそうにおしゃべりを始めました。彼らは、私がいる事などは無視している様です。私は、無性にはらがたち、ついに、ベッドのそばにあった椅子を投げつけました。すると、椅子はドアにあたり、ドアが壊れてしまいました。』

私は、この時、「おや?」と思ったのです。夢の中で彼女がくつろいでいた部屋のドアと窓は、正反対の場所にあります。そして、侵入者達は、彼女と窓の間にいたのです。つまり彼女は、侵入者達とは反対の方向に椅子を投げた、だからドアが壊れたのではないかという事になるのです。私は、この事を彼女に指摘してみました。すると、彼女は驚いた顔をして、「そういえば、そうですね?」と言いました。

この夢は、おそらく彼女が普段やっていた行為を象徴したものだったのでしょう。彼女は、本来の敵に向かってではなく、自分に向かって攻撃の矢を向けていたのでしょう。私は、「君は、侵入者達に向かって椅子を投げてもよかったのではないかい?」と言いました。彼女は、ポカンとした顔をして、少し間をおいてから、今まで他人に向けて怒りをぶつけた事がないと語りはじめました。私は、「誰にでも怒りを感じ、それを表現する権利がある。暴力はいけないけどね」と話しました。

このセッションの後、彼女の自傷行為+破壊行為はぴたりとおさまり、次第に彼女の怒りや悲しみを表現できるようになりました。これは、私がやってきたセッションの中で、最も夢のワークが効果的だった例です。

(本稿で示した事例は、クライアントに対する守秘義務を考慮し、クライアントが特定できない様に工夫されています。)


(向後善之)

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