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役に立つ心理学コラム「最初の冒険(その1 )」

最初の冒険(その1 )

僕の中で今でもはっきりと覚えている「最初の冒険の記憶」は、小学校に上がる直前のできごとでした。僕はそのころ神奈川県川崎市の鹿島田というところに住んでいました。今の JR新川崎駅 があるあたりです。小学校に上がる前の春休み、ひとりで電車に乗って幼稚園の時の同級生に会いに行った事があります。僕の記憶では、彼(仮にA君としましょう)は、JRの(当時は国鉄の)南武線で30分くらいのところに住んでいました。僕は、うきうきして南武線に乗り、座席に座って、ずっと外を眺めていました。あんまり夢中に外を見ていたので、南武線の窓に、僕の鼻型がついてしまっていたのを、今でもはっきり覚えています。

最初のうちは住宅街なのですが、武蔵小杉という駅を過ぎる頃になると、あたりは一面のブドウ畑になり、民家もパラパラとしか見えなくなっていきました。その景色の変化は、僕をワクワクさせました。たった30分の旅だったのですが、その頃の僕には、大旅行だったのです。目的地の駅には、A君とお母さんが待っていました。小さい駅だったので、すぐにA君をみつけることができました。A君と僕は、それから1日中外で遊びまわりました。A君の家の周りは、自然がいっぱいで(今やその面影もありませんが・・)、僕たちは、あらゆる秘密の場所を探検に行きました。

そのため、僕たちは泥だらけになってしまったので、A君の家で風呂に入り、その後、ラーメンをご馳走になりました。 思う存分遊んで、たくさん食べて、夕方になり、家に帰る時間になりました。A君とお母さんが南武線の駅まで送ってくれました。駅までの道で、夕焼けがとてもきれいだった事を覚えています。いつまでも手を振るA君と、A君のお母さんと別れてから、再び僕の南武線大旅行になりました。しかし、今度は、様子が違っていました。あたりは、みるみるうちに暗くなり、南武線の窓から見えるものは、時々不気味な音をたてながら通り過ぎる踏切だけになりました。

今でこそそのあたりは住宅街になっていますが、その頃はなにしろ一面のブドウ畑でしたから、日が暮れると真っ暗になってしまいます。そして、南武線の中には、ほとんど乗客がいませんでした。窓から外を見ていても、いつまでたっても街の明かりが見えてきません。僕は、しだいに不安になっていきました。「反対方向の電車に乗ってしまって、自分の家からどんどん離れていってしまっているのではないか?」といった疑問が頭に浮かんでからは、もういけません。その疑問は、しだいに確信に変わっていきました。「間違いない。反対方向に進んでいる」、「このままでは、知らない場所に行ってしまって、帰れなくなってしまう」との思いが、みるみるうちにふくらみ、僕は、その確信に囚われていきました。

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