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役に立つ心理学コラム「不完全さの意味」
不完全さの意味
生まれたばかりの子供は、自分と他人の区別がつきません。母親という存在は、自分と一心同体であると認識するでしょう。彼にとっては、自分自身が唯一無二の存在なのです。おなかがすくと、母親はミルクをくれます。おしっこが出れば、おむつをかえてくれます。この時期の、母親と子供は、完全で心地よいマトリックスのなかにいると言ってよいでしょう。
しかし、完全さは、いつか敗れます。ミルクをあげたり、おしめを取り替えるのがちょっとだけ遅れてしまうこともあるはずです。ちょっとした遅れなのですが、子供にしてみれば、天地がひっくりかえるほどの危機的なできごとなのです。当然のことながら、子供は泣き叫びます。
しかし、やがて母親がやってきます。「あらー、おなかがすいていたのね」と、ミルクをくれます。そのとき、子供は再び平穏さをとりもどします。 こうしたちょっとした不完全な対応が、子供に自己と他者(この場合は、母親)の違いを認識させていきます。なぜなら、自分と一心同体であれば即座にやってくれるはずなのに、母親の行動は、微妙にずれているからです。
(本稿は、カウンセラー'sブログより抜粋したものです)
向後善之(ハートコンシェルジュ・カウンセラー)