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役に立つ心理学コラム「人格同士の協力体制」
人格同士の協力体制
(本稿は、カウンセラー'sブログより抜粋したものです)
解離性同一性障害の人の中には、自虐的であったり、自殺願望が強かったりする交代人格が存在することがあります。
彼らが表に出てくると、非常に危険な状態になり、自傷行為をしたり、自殺未遂をしたりします。そして、交代人格によって、自傷の深さや場所、自殺未遂の方法が違ったりします。
他の人格が死にたくないのに、一部の人格が死にたがっているという事態も頻繁に起こります。そのような場合、交代人格同士で協力態勢を作ることが有効かと思います。
自殺の危機が迫ったとき、まず主な交代人格に出てきてもらい、自殺をどのように回避するかを話し合います。死んでしまえば、全ての交代人格が消滅してしまうということを、彼らに伝え、そうならないような対策をとっていくわけです。
ひとつの人格が衝動的に自殺を図ろうとしたとき、他の交代人格がそれを止めるような体制を作っていきます。
また、その過程で、交代人格同士でグループミーティングを、イメージワークの中で行う場合もあります。その際、自殺願望の強い人格を他の人格が説得するといったことも起こります。
さらに、「自殺をしない」という誓約書に、全人格から、サインをもらうこともあります。30人ぐらい人格がいるとサインをもらうだけで3時間ぐらいかかってしまいます。
こうした人格同士の協力の経験が、後の人格統合へのきっかけになっていきます。
(向後善之)