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役に立つ心理学コラム「平等と公平」

平等と公平

私は生来不器用なため、球技が苦手です。ゴルフとボーリングのスコアがほとんど同じといったなさけなさで、サッカーをやっても(あんなに大きなボールなのに)からぶりするし、バレーボールのアタックは成功したためしがほとんどありません。

こんな私でも、小さい頃からひとつだけ得意なものがありました。それは、徒競走です。と、言っても、学校の代表になるなんてレベルではなく、クラスで10番以内に入る程度のものでした。小学校の頃(私にもそういう時代があったのです)、運動会の前には、少しでも速く走れるように毎日猛練習したものです。初めて徒競走で1等になり、ゴールの横で先生から左の胸に1等賞と書かれたリボンをつけてもらった時は、大得意でした。私はお調子者ですから、「将来オリンピックに出る」等とのたまっていた様です。

ところが、最近ある方から信じられない事を聞きました。
その方のお子さんの小学校では、「1等賞になってもなにもしない」との事なのです。その理由を伺うと、「きっと、足の遅い子が劣等感を抱くからだと思います」との事でした。私は、驚きのあまり、言葉を失いました。これは、おかしいです。だいたい、足の速い遅いがその子供全体を評価するものではありません。それは、単に、その子の一側面であります。足が遅くて、私と反対に球技の得意な子もいれば、勉強のできる子もいるでしょう。そのそれぞれを表彰してあげれば(褒めてあげれば)いいじゃないですか。それに、「速く走れなかった事」によって、がっかりしたり、くやしかったりする事が、実はその子供の精神的成長に寄与します。

がっかりしたり、くやしかったりする気持ちをやがて子供達は乗り越えていきます。その「つらさを乗り越えた」という感覚が自信や自尊心につながっていきます。もちろん、逆に努力の結果良い成績を収めたのなら、それは自分の力を出し切って目的を達成する事の喜びを知る機会になるでしょう。どのような結果になろうとも、子供はその経験からなにがしかのおみやげを持って帰るはずです。しかし、「1等賞を表彰しない」システムは、その経験を薄めます。

こんな話があります。かつて、アメリカの科学者達が「バイオ・スフェアー」という大規模な実験を行いました。このプロジェクトは、地球のエコシステムがどの様に働いているのかを調査するもので、アリゾナの砂漠の中に地球環境を模した自己完結システムを建設し、その中で、8人の科学者が自給自足の生活をするというものでした。この施設の中には、熱帯雨林から砂漠、寒冷地帯に至るまでさまざまな地球環境が再現され、外部の環境とは完全に隔離された状態で、地球の自己再生能力が調査されました。また、この結果は、将来の人間が移住できるような宇宙ステーション建設にも応用される事が期待されていました。

最初のうちは、この「バイオ・スフェアー」は、非常に良く機能していました。熱帯雨林は、動物達の吐き出す大量の二酸化炭素を酸素に変え、動物達の生活に最適な18%の酸素濃度に保たれていました。(酸素濃度少なくなると、当然動物達の呼吸が苦しくなりますし、逆に酸素濃度が濃くなると、自然発火による火事が多発します。)また、動物の排泄物は自然に植物の肥料になり、彼等の成長を助けました。

順調に見えた「バイオ・スフェアー」が、おかしくなりはじめたのは、実験2年目の事です。ある時から、突然いくつもの大木が倒れ出したのです。ある高さまで到達した大木が、自分の重さに耐えられなくなったのです。こんな事は、自然界では絶対に起こりません。科学者達は、その調査に乗り出し、ついにその原因を突き止めました。原因は、単純な事でした。「バイオ・スフェアー」の中には、風がほとんど無かったのがいけなかったのです。自然の中では、木は常に風にさらされ、時には枝が折れたりする被害を受けます。木にとっては迷惑そうに見える風ですが、木の成長にとって、実は重要な役割を果たしている事がわかりました。風による刺激のおかげで、木は鍛えられ、幹の強度が増し、そのおかげで高くまで成長しても、自分の重さで崩壊する事がないのです。

人間の場合も「木」と同じ事が言えます。人間の成長には、ある程度の障害物が必要なのです。そして、その障害物を乗り越える事によって、人の心は問題への対処の仕方を知り、また、問題が起こってもそれを乗り越える事ができる自分の能力に気づくのです。「徒競走の1等賞を表彰しない」姿勢は、バイオスフェアで無風状態を作っているシステムと同じです。

こういう事を言うと、「平等は必要だ」と反論される方がおられるかもしれません。しかし、個々の人間の存在は存在自体不平等にできています。私は、キムタクや藤木直人さんの様なイイ男ではありませんし、名古屋大の野依教授のようにノーベル賞をもらえるような頭は持ち合わせていません。世の中は、まったく不平等です(横で、妻が「キムタクや藤木直人と比べる事自体がおこがましい」とのたまわっています)!

イイ男でも天才でなくても、まあ、いいじゃないですか。人それぞれ異なるところが、世の中の多様性の元であり、そこが面白いんじゃありませんか?必要なのは、平等ではなく、それぞれ異なる人達に対して公平な権利を与える事です。公平とは、すなわち、徒競走で言えば、同じスタートラインに立たせる事です。そしてその結果はその人個人個人の個性であり、それに、人生には、徒競走以外にもたくさんの種目があるはずなのです。


(向後善之)

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