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役に立つ心理学コラム「パワー オブ ダンス〜吉福さんのセラピー〜 8-2」

パワー オブ ダンス〜吉福さんのセラピー〜 8-2

吉福伸逸さんのセラピーについての第8回です。今回が最終回です。
今回は、「セラピストに求められる姿勢」についてです。

3、セラピストに求められる姿勢
・道場に座る
吉福さんは、「クライアントのプロセスを徹底的に信頼する」という姿勢を強調していました。クライアントのプロセスがはじまったら、そのプロセスに従っていけば、クライアントは、自らの力で最もよい状態になっていくというのです。そのことを吉福さんは、「プロセスが、その人をその人にとって最もよい場所に連れて行く」と表現していました。
セラピストがクライアントのプロセスに徹底的によりそうためには、何が起こっても動じずに、ただそこにいるという落ち着きががなければならなりません。

その姿勢を、吉福さんは、道場の中央に座り、試合の始まるのを待っている剣士の心境に例え、「道場に座る」と表現しました。セラピストは、その瞬間、あらゆる防衛、執着、エゴから解放されており、マインドフルな状態で自分自身に気づき、クライアントに対しても、あらゆるジャッジメントを排除して、ただそのままそこに居るのです。

セラピストが道場に座る心境になれれば、クライアントのアクティングアウトなど、あらゆる想定外の事態にも柔軟に対応できるようになります。


・自分の中にないものは見えない

セラピストは、クライアントと道場に座る心境でそこにいるとともに、クライアントの中に起こっている情動を理解しようとします。人は、自分の中にある情動から、他人の気持ちを類推するのですが、そのため、自分の中にまったくない情動は理解できないのです。従って、まったく落ち込んだことのない人、不安でどうしたらいいのかわからないという経験がまったくない人は、うつの人の気持ちや、不安障害の人の気持ちはわからないということになります。

それを吉福さんは「自分の中にないものは見えない」と表現したのです。しかし、この吉福さんの言葉には、それ以外にもいくつものメッセージが含まれています。
まったく落ち込んだことのない人、不安でどうしたらいいのかわからないという経験がまったくない人は存在しません。程度の差はありますが、だれもが、落ち込み、不安、くやしい思い、やきもち、あせり、怯え、怒り、悲しみ、喜び、満足、高揚感など、あらゆる情動を感じたことがあるはずなのです。

そうなると、この言葉は、「自分の中にないものは見えないが、全ては自分の中にあるのだから、見えるはずだ」という意味にもとれます。

もし「見えない」、つまり「理解できない」ことがあるとしたら、それは、その人が、それを理解したくないから見ていないということなのです。

従って、「自分の中にないものは見えない」という言葉は、「自分自身をごまかさずにしっかり観ることができれば、どんな人も理解することができる」という意味なのです。

・統合的アプローチとAuthenticity

ここまで、吉福さんのセラピーに対する考え方とアプローチの一端を紹介してきました。これまで述べてきたように、吉福さんは、クライアントの状況に合わせ、セラピーの理論や技法を選択する統合的セラピーを行っていました。また、注意深く過剰介入にも過少介入にもならないような丁寧なアプローチを行ってたのです。

そうしたセラピーを行うためには、クライアントを注意深く観察する落ち着きはもちろんのこと、セラピストは、自分自身を非防衛的に歪めずに見つめる姿勢が求められます。それは、徹底的に自分をごまかさない姿勢です。こうした姿勢が、Authenticity(真実性)です。

セラピストは、少なくともクライアントの前でAuthenticな姿勢を維持していないといけません。吉福さんは、よく「クライアントの方が、セラピストよりはるかに敏感だ」と言っていました。ですから、Authenticityの欠けた状態で、クライアントに接すると、クライアントを深く傷つけてしまうと考えた方がよいでしょう。例えば、セラピストが自己正当化してしまったら、クライアントは、自分自身を激しく責めるかもしれません。また、セラピストが優越感を持ちがちであれば、クライアントは無力感を感じ自分で解決できることも全てセラピストに判断をゆだねるという依存状態になる可能性があるのです。すなわち、セラピストのAuthenticityの無い姿勢は、クライアントがそれまで自分自身を傷つけていた傾向を強化することになってしまうのです。

吉福さんは、セラピスト達に、自分の中に何が起っているのか、よく観察するように求めました。自分自身を見つめることは苦しいこともあります。自分の中の嫌な傾向も見つめなければならないのです。
私自身、取り組まなければならない課題がありました。その中のひとつが「いい人を演じる」というものでした。

頼まれたら嫌と言えず、なんでも引き受けてしまい、後でアップアップになってしまう。といった具合で、つい「いい人」をやってしまっていたのです。

この傾向は、セラピーの中でも出てしまうのです。クライアントの前でいい人であるために、私は、無意識のうちに、クライアントから嫌われそうなあるいは非難されそうなコメントを避けていたのです。

そのため、私のセラピーはどうももうひとつ深みの無いものになってしまっていました。つい、その場を取りつくろって、空気にあったコメントをしてしまうのです。つまり、「嫌われる勇気」がないわけです。
「いい人」をやめるためには、その背景にある感情に気づくことです。私の場合、非難されることに対する不安、不快な雰囲気になることに対する居心地の悪さがあり、仲良く楽しくという方向に雰囲気を変えようとしてしまうのです。そのため、「いい人仮面」をかぶり、自分に嘘をつくようになってしまうのです。

このような背景にある感情に気づくことが、Authenticityを維持できるように自分を変えて行く第一歩です。

こうした仮面をはぎとるのは、かなり大変なことです。自分が仮面をかぶっているときの反応に気づき、少しづつでもはがして行くことが大切です。

これは、苦しいプロセスです。仮面をかぶっていることに気づいた時、それが愚かななさけないことに見えます。しかし、その愚かさ・なさけなさから目をそらしたら、仮面をぬぐことはできません。そうした自分の恥部を見つめる勇気を持つためにはどうしたらいかと言うことですが、吉福さんは、「自分を笑えばいいんだよ」と言います。自分自身を俯瞰的に見つめて笑うのです。しかし、温かく。

吉福さんのおかげで、めでたく私もだいぶ「いい人」から卒業できました。そして「いい人」でない方が、気楽です。

しかし、ひとつの課題を乗りこえると、次の課題が出てきます。苦しいけれど見つめて、やがて笑えるようになり、新たな課題が見えてくる・・。このように、よりAuthenticなセラピストになるためには、変化し続けなければならないのでしょう。

2004年以降の吉福さんのワークショップは、こうした吉福セラピーの考え方を、主に専門家達に伝えて行く目的もありました。

参加者が、見て、自分の頭で考え、自分なりのセラピーを各自が作り上げてくれれば良いと吉福さんは考えていたようです。あまり言葉で説明したくないと言っていた吉福さんですが、2007年ごろから、レクチャー的なセミナーを開くようになりました。なるべく多くの人に、吉福さんの考え方を伝えたかったのだと思います。
そして、それは、残された我々の役目になりました。
おわり
向後善之



(本稿は、カウンセラー'sブログより抜粋したものです)

向後善之(ハートコンシェルジュ・カウンセラー)

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