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役に立つ心理学コラム「精神病の心象風景-2」

精神病の心象風景-2

私と目が合ったとたん、彼女は目を伏せた。
目が合うと、なにかマズいことがあるのだろう。

彼女は、次の駅で降りていった。電車から降りるまで、彼女は、けっして私の方を見ようとはしなかった。
見てはマズいのだ。

彼女が降りた後、私はつり革につかまって、外を見ていた。トンネルに入ると、窓に車内の様子が鏡のように映った。

サラリーマン風の男が、私を見ているのがわかった。
この男は、さっきの女性とグルなのだろう。彼は、私の方に向いて私の左後ろのドアのところによりかかり、文庫本を読むふりをしていた。人は、通常、本を読むときには、車外に向いているものだが、彼は車内に向いて本を読んでいた。本の延長線上に私がいるのだ。

やはり、尾行されていたのだ。

尾行は、通常2人組で行う。そして、適当なタイミングで、一人づつ次の担当と交代する。
さっきの駅で降りた彼女がバトンタッチした人間と、もうひとりが尾行しているはずだ。サラリーマン風の男以外にもうひとり。

私は、車内の週刊誌の中吊り広告を見るふりをしてクビを巡らせた。

スマホのカメラが私をねらっていた。女子大生風の女が一心にスマホを見ているのだが、カメラは、しっかりと私に向いていて、動かない。

これで、敵が明らかになった。サラリーマンと女子大生だ。

さて、どうやって彼らを巻こうか?

私は、何気ない顔をして、次の駅でドアが閉まる瞬間に、ホームに駆け出した。幸いふたりともついて来れなかった。サラリーマンは驚いた顔をし、女子大生は必死にスマホを操作していた。ふたりを乗せた電車は次の駅に向かって行った。


以上は、精神病・統合失調症の人の心象風景を描いたビネット(架空のストーリー)です。このビネットを元に、精神病・統合失調症に対するケアについて、お話しましょう。

このビネット(架空のストーリー)の一番最初、
「私と目が合ったとたん、彼女は目を伏せた。」
の時点で、主人公(仮にX氏とする)の妄想のスイッチが入っているのだろう。

X氏は、そこで、彼女が目を伏せた理由を考え始め、彼女が自分を尾行しているスパイだと妄想的に断定するのだ。

今度は、その断定がベースになり、サラリーマン風の男、続いて女子大生風の女がグルであると判断する。そうした断定は正になり、文庫本もスマホも、その判断の正しさを裏付ける証拠となるのだ。

ここで、大事なのは、最初のスイッチが入った時点の認知様式だ。彼女が「目を伏せた」ことを、なぜ、「なにかマズいことがあったから」というような理由にしなければならなかったのだろうか?

目を伏せた理由が、「私と目が合ったのが照れくさくて」でもいいし、「ネイルがちゃんとしているのか確かめたかった」でもいいはずだ。たくさんある「理由」から、「なにかマズいことがあったから」を選んだのはなぜか?そこが大切なのではないか?

「なにかマズいことがあって目をそらす」というのは、彼女の不安を示しているのかもしれない。
彼女の不安とは、実は、X氏の不安を投影したものではないか?という仮説を立てることもできる。

これ以外の出来事からも、どうやら、X氏が不安を他者に投影する傾向があり、それが妄想の起点になっていることが多い事が分かったとする。

そうしたら、セラピストは、X氏の不安に焦点をしぼりセラピーを行うのだ。X氏が抱えている根本的な不安は何か?どこから生じたのか?なぜ、それを不安に感じるのか?不安を乗りこえるためには、どうしたらいいか?などを話し合う。
そして、不安が解消された、あるいは少なくなった時点で、妄想が無くなっていく。

・・・というのが、僕が精神病のクライアントに対して行っているセラピーの基本的な姿勢です。サラリーマンと女子大生がスパイかどうかなんていうことはどうでもいいんです。それより、そうした妄想が作動し始める起点が大事だと思うんですよ。
簡単にまとめると、
1)妄想・幻覚の起点を探す→2)妄想・幻覚のスイッチを入れる情動を特定する→3)その情動に圧倒されないように、情動を外在化できるようにサポートする
というのが、基本的な流れですね。

「3)その情動に圧倒されないように、情動を外在化できるようにサポートする」については、マインドフルネスを利用することも多いですし、家族問題に言及する時もありますし、家族へのサイコエデュケーションをするときもありますし、ソマティックな手法を適用する時もあります。それは、ケースバイケースです。

尚、ここに示したビネットは、特定のクライアントの事例を示すものではありません。何人かのクライアントの事例から、統合失調症の妄想・幻覚のパターンを抽出して創作したものです。

(本稿は、カウンセラー'sブログより抜粋したものです)

向後善之(ハートコンシェルジュ・カウンセラー)

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