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役に立つ心理学コラム「学んで来た事・とりくんでいく事 その48」
学んで来た事・とりくんでいく事 その48
日々の生活の中で、多くの場面で人は自分を偽ります。
納得できない状況でも反論せず、自分の仲間達が「良い」と言ったものを賞賛し、立場が上の人には逆らわず、波風を立てないように常に仲間内では「いい人」でいる、時代の波には逆らわず、そのときの主流の考え方に自分をあわせ、目立たないように適当なところで妥協する。
これらの思考・行動に共通しているのは、他人の目を意識していると言うことです。言わば、彼らは他人の目に自分を合わせるために、その場面場面に合うような仮面をかぶっているようなものです。
こうした思考・行動を、自分自身がよくわかっていて、「あえて」やっている分には、問題はありません。例えば、上司の命令が不適切であっても、ここで自分が反論するくらいならば、さっさとその仕事を片付けてしまった方が自分にとっては楽であると言う判断のもとに命令に従うのであれば、上司に従順な自分という仮面をかぶっていることを自分自身でわかっていますから、自分を失うことはありません。
しかし、あまりにさまざまな場面で仮面をかぶりすぎていると、次第に自己感が失われていきます。自分の外部からの欲求を自分自身から出てきた欲求であると勘違いしてしまうのです。
そのような状態を吉福さんは「仮面がはがれなくなる」と表現しました。
仮面が剥がれなくなってしまった人たちは、自分が今この瞬間に何を感じているのかがわからなくなってしまうのです。自分自身がなにをやりたいのか、何が好きなのか、何をやりたくないのか、何が嫌いなのかが見えなくなってしまいます。やがて彼らは、自分自身で判断をするのをやめ、しまいには廻りに盲目的に従うことになってしまうのです。その結果、他者に対する共感の心を失い、自分たちだけがよければ良いと言う集団的な自己愛に陥るのです。多様性を認めず、意見の違う人たちを徹底的に非難し、既得権益にしがみつくなどということが起こるのです。
(本稿は、カウンセラー'sブログより抜粋したものです)
向後善之(ハートコンシェルジュ・カウンセラー)