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役に立つ心理学コラム「うつと躁について−5(うつからの回復−3)」

うつと躁について−5(うつからの回復−3)

(3)感情を深め認める・・自己受容のプロセス

感情にある程度コンタクトできるようになったら、今度はその感情を深め、今まで自動思考の下に隠れていた感情を認識し、そうした隠れていた感情を自らのものであると認識する事により自己を受け入れるプロセスに移ります。

このプロセスでは、主に人間性心理学、トランスパーソナル心理学の手法が有効です。セラピーのセッションでは、より深い感情にコンタクトするために、例えば以下の様な方法を使います。

@エンプティーチェア(ゲシュタルト療法、文献1、P.140〜142)

エンプティーチェアとは、空の椅子をひとつ用意し、その椅子に感情の対象となる人が座っている事を想像して、その対象に対し自分の感情をぶつける手法です。


Aツーチェア(ゲシュタルト療法の応用)

人間にはいくつかのパーソナリティー(サブパーソナリティー)があります。前述した自動思考は、これらのサブパーソナリティーのなせるわざで、例えば「〜しなければいけない」といった思考パターンに支配されています。

このサブパーソナリティーの影には、そうした自動思考に押さえつけられている別のサブパーソナリティー、例えば、自動思考に不快感を感じているサブパーソナリティーがあります。

ツーチェアーは、このふたつのサブパーソナリティー同士に議論をさせる方法です。椅子をふたつ用意し、自動思考が浮かんだときには片一方の椅子にすわり、そのサブパーソナリティー(SP1)になりきって自説を主張します。

もし、その自動思考に少しでも反発を感じたり、不快感を感じたりした場合は、そうした感情を持っているもうひとつのサブパーソナリティー(SP2)になりきって、今度は、自動思考に対する反論を表明したり、あるいは、このサブパーソナリティー(SP2)の希望を表明したりします。

通常は、SP2はいつもSP1に負けていて、表に出る機会が少ないのですが、セラピストの立会いの下で2つのパーソナリティーが議論を続けているうちに、SP1とSP2の間の新たなバランスができてきます。


Bトラッキング(ハコミセラピー、文献2、P.132〜136)

人の感情は、必ずしも言葉だけで表現される訳ではなく、顔の表情・声の調子・身振り手振り・姿勢・しゃべり方等によって非言語的に表現もされます。ハコミセラピーのトラッキングという技法は、こうした非言語的メッセージを捕まえる方法です。

セラピストは、クライアントのちょっとした非言語的メッセージの変化を観察(トラッキング)し、その変化を指摘する事によってクライアントの気づきを促します。


Cアクセッシング(ハコミセラピー)

これは、サンフランシスコのハコミ研究所のセラピスト、ロブ・フィッシャーから教わった簡単ですが感情レベルを深めるために非常に有効な方法です。

例えば:

クライアント:「〜なので、○○さんには、とても頭にきます」
セラピスト:「○○さんに対して怒っているのですね」・・(感情にコンタクトする言葉を伝える)
クライアント:「はい、とても怒っています」
セラピスト:「怒りは、身体のどの部分で感じますか?」・・(感情体験を味わってもらう)
クライアント:「みぞおちあたりで感じます。なんだか重い感じです」
セラピスト:「その部分に少しの間注意を集中する事はできますか?」・・(感情体験を味わってもらう)
クライアント:「はい」

少し間をおく。

セラピスト:「なにか身体や感情に変化がありますか?」・・(感情を探求する)
クライアントが突然しゃくりあげる。
セラピスト:「悲しいのですね」・・・・(感情にコンタクトする言葉を伝える)
クライアント:「はい」
セラピスト:「その悲しみと少しの間一緒にいる事はできますか?」・・(感情体験を味わってもらう)


このように、(感情にコンタクトする言葉を伝える)、(感情体験を味わってもらう)、(感情を探求する)の3つのプロセスを繰り返す事により、感情のレベルが深まっていきます。

上記の例では(かなり単純化した例ですが)、怒りの下に悲しみの感情がある事にクライアントは気づきます。そして悲しみの下には、くやしさ等の感情があるかもしれません。アクセッシングは、こうした表に出ていない感情を引き出す技法です。

以上、感情を深め認めるための4つのセラピー技法を紹介しましたが、この他にも、アートセラピーやドラマセラピーといった技法も有効ですし、さまざまな呼吸法や瞑想も自己の深い部分の感情に気づく事ができます。

この気づきのプロセスはたまねぎの皮むきのようなもので、特に最初のうちは、少しずつプロセスが進んでいきます。

こうして、ひとつひとつ気づいた感情を自分のものと認める事ができると、やがて「私は、○○でなければならない」あるいは、「僕は、△△すべきである」といった固定化した自動思考パターンは、例えば「自分は自分以上でもなければ自分以下でもない」といった自己を肯定的に受容する思考パターンに変わっていきます。

自己を肯定的に見る事ができるようになると、その人から見える世界は大きく変わります。それは、まるで白黒の風景が突然カラーに変わるようなもので、全ての存在が生き生きと見えてきます。

あるクライアントさんが、うつの状態を脱した時、「あの時(うつの時)の事は、今ではまるで夢の中の出来事のように感じます。あれは、現実に起きた事なのでしょうか」と言っていました。

おそらく、うつを脱した人達の多くが彼女のような感覚を持つのでしょう。うつは、つらい体験です。しかし、その体験に正面から向き合い、その困難を克服した時、その人は「自分をそのまま認める」という大きなおみやげを持って帰ってくるのです。

これまで、3回にわたり「うつからの回復」について書いてきました。

今まで紹介した方法は、うつからの回復のサポートの一部にすぎません。実際のセラピーの現場では、個人セラピーに加え、必要に応じ家族セラピーやグループセラピー(例えば、同じ様な症状を持つ人達で構成されるグループセラピーや自助グループ)を組み合わせたりもします。

うつの原因や症状は、非常に幅広く、セラピストはひとりひとりのクライアントに合ったアプローチを選択する必要があります。
そして、適切なサポートが得られればうつは必ず克服できます。

(文献1)「ゲシュタルト療法」(1990年)、パールズ、F.S.著、ナカニシヤ出版
(文献2)「ハコミセラピー」(1996年)、クルツ、R.著、星和書店


(向後善之)

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