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役に立つ心理学コラム「ハラサーは組織を潰す(20)」
ハラサーは組織を潰す(20)
会社の方針(P社長=Qコンサルタントからの指示)に異論をはさもうものなら大変です。上司からは「みんなが、一生懸命やろうとしているのに、君は水を差すのか?」、「君は、会社が存続しなくなってもよいと言うのか?」などと叱責を受け、ことあるごとに「根性がない」、「やる気がない」などのレッテルを張られるようになりました。上司から部下へのパワーハラスメントが横行し、異論をはさんだ社員達に対し、協調の精神を乱すと言うことで、職場内いじめが横行するようになりました。その結果、 当然のことながら精神的に不調になる社員が増え、退職者が続出しました。
しかし、P社長をはじめとする上層部は方針を変えようとしません。幹部達は膨大な会議費、接待費を使い、週末のゴルフも相変わらず続いていました。やがて、O社の業績は悪化しはじめました。しかし、業績悪化の原因は社の方針ではなく、一部社員のやる気のなさであるとされ、さらに業績が悪化すると、「やる気がない」とレッテルを貼られた社員を退職に追い込んでいきました。しかし、「やる気がない」とレッテルを貼られた社員達や、社の方針に異を唱えた人達こそ、O社に必要な人達でした。
「やる気がない」とレッテルを貼られた人達は、主にP社長らの方針の非現実性に気付いていた人達で、現実的な視点を持った人たちでした。彼らの中には、方針に異を唱えたため上司から会議室に呼ばれ、複数の幹部から数時間に及ぶ叱責を受け、精神的に不調をきたし休職から退職に追い込まれる人もいました。
その後もO社の業績は回復せず、P社長をはじめとする幹部達は無理な融資を受け、しまいには不正な決算報告をして外面的にとりつくろおうともしました。幹部達の危険な行為は極秘に行われましたが、会社の業績がどうもおかしいということは、社員も気付いていました。しかし、幹部達に意見を述べる人達は、もうだれも残っておらず、社内は、あきらめ感に支配されていました。
結局、O社の業績は悪化の一途をたどり倒産しました。
(本稿は、カウンセラー'sブログより抜粋したものです)
向後善之(ハートコンシェルジュ・カウンセラー)