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役に立つ心理学コラム「カルトの暴走と社会−1」

カルトの暴走と社会−1

<オウム真理教信者の過激化のメカニズム>

前回・前々回でご紹介したように、人間の精神的な成長プロセスには、個を超えたスピリチュアルな成長段階があります。

そしてスピリチュアルな成長においては、そのプロセスがあまりに急激な場合、スピリチュアル・エマージェンシーと呼ばれる混乱状態を引き起こします。

スピリチュアル・エマージェンシーに陥った場合には、プロセスをスローダウンし、急激な覚醒に伴う恐怖感があればそれを癒すと共に、積み残された精神心理的なテーマを解決しようとするアプローチが必要なのですが、例えばオウム真理教の場合、「高いステージに達するため」信者達に過酷な肉体的なプラクティスを強い、LSDをはじめとする薬物の使用により、できるだけスピリチュアルなプロセスの進行を早めようという試みがなされていました。

これは、終末論の思想を強く持ったオウム真理教にとっては、「きたるべき最終戦争にそなえる」ための準備であり、緊急課題でした。信者達は、自らの精神心理的なテーマを十分に解決することなく、また、強固な個人的自我を持たないまま、半ば強制的にスピリチュアルな精神領域に押し出され、その領域の圧倒的なエネルギーにさらされた時、ある者は至高体験を、またある者はそれまでに経験した事のないような恐怖を、受動的に経験する事となりました。

強いスピリチュアルな刺激は、直感的なインスピレーションをもたらす場合もありますが、低次の無意識に直接浸透して邪悪な感情や本能的エネルギー、失われた記憶等に光を投げかけ、活気づかせてしまう場合もあります(文献1、P.230)。

この体験は、極端なパーシャル・アウェアネス(部分的な覚醒)の状態であり、信者達はその内的体験を十分に内在化できず、逆にその恐怖体験を外部(反オウム的な社会)に投影し、至高体験を「自分が選ばれた存在である」という妄想的枠組みによって理解しようとする自我防衛機制を強化させる結果となりました。また、その防衛機制の強化は個人的自我としてではなく、オウム真理教という共同体としてのグループ自我においてなされました。

こうして、容易に「スピリチュアルなエリート主義」が形成されましたが、その個人的自我基盤は脆弱なままであり、日常的な意識状態においては、その脆弱さを補うために、信者達はグループ自我への依存を強化(すなわち教祖および教義への盲信)していったのです。

日本人はその社会の全体性重視の傾向から、欧米諸国の人々に比べ「なんらかのグループに所属して安心感を得たい」という所属欲求を強く持ちます。

またオウム信者の間の、教祖および教義への盲信によるグループ共同体意識の強化の要因のひとつは、信者達の多くが入信前にすでになんらかの形で社会からの疎外感を感じており、オウム真理教の信者になる事でその所属欲求を満たそうとしていた傾向にあると思われます。
メインストリームの社会から離れ、所属欲求を満たされなくなった彼らにとっては、オウム真理教は絶対的で永遠の存在でなければならなかったのです。

また、信者の中のエリート主義を後押ししていったのが、教団の持つ超能力への固執の体質でした。
超能力や超常現象は、例えば禅仏教の伝統では魔境と呼ばれ、スピリチュアルな成長には関与しないものなのですが、彼らは超能力を得る事が高い精神的ステージへの到達の証としたのです。

信者達の入信後のプロセスを簡略に示すと、次の様になります:

「過酷な肉体的プラクティスおよび薬物使用」→「非自我極とのコンタクト」→「強烈な気分の高揚体験または、圧倒的な恐怖体験」→「自我防衛機制による、体験の歪んだ解釈」→「教祖、教義への盲信」→「スピリチュアルなエリート主義の発生」→「反オウム的なものへの敵意」

こうしたプロセスを繰り返す事により、グループ自我としてのオウム真理教は過激化し、社会への敵意を増大させる事となったと考えられます。

(文献1)フェルッチ、P.(1994)、「内なる可能性」、誠信書房

(向後善之)

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