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自傷からの回復(3)・・非現実的な自責の念を修正する

(本稿は、カウンセラー'sブログより抜粋したものです)

【A非現実的な自責の念を修正する】

自分の感情を言語化していくのと並行的に、自分の頭の中にある思い込み(自動思考)を認識し、修正していく認知行動療法的な
アプローチを適用していきます。

彼らの自動思考は、自責の念や自己嫌悪といった自己否定的な観念にとらわれています。
彼らにとって、自傷に先立って頭のなかで回っている自動思考を言葉で表現してもらう事は【@感情を言語化する】事よりも
比較的容易なようです。

多くは、「おれはだめだ」、「自分なんていないほうがいい」、「私は最低だ」といった言葉を思いうかべます。
これらは、過去の経験によってできあがった非合理的な自動思考で、ちょっとした刺激やストレスにより、自動的に働き始めます。
これらの言葉は、トラウマ体験の最中に虐待する側から投げつけられた言葉であったり、虐待やいわれのない暴力の理由を自分に
言い聞かせるために自分自身で作り出し、自分に言い聞かせた言葉かもしれません。
中には、自動思考を言語化する事にも困難を感じる人もいますが、そうした場合は、@と同様に、アートやイメージを用います。

自動思考が言語化できたら、その非合理性や非現実性を認識してもらうプロセスにうつります。
「おれはダメだ」と言うのなら、どこがどうだめなのか?ということをクライアントと話し合い、その非合理的な思い込みを
修正していきます。

最初のうちは、彼らは「思い込み」であると認めようとしませんが、根気強くその非合理性、非現実性を話し合っていくと、
しだいに彼らはその理不尽さを理解していきます。
また、クライアントが「ダメだ」と言っている資質が本当に悪いだけなのかを検討していくことも大切です。

例えば、クライアントが、「他人によい顔をしすぎるために、なんでもひきうけてしまい、その結果、いっぱいいっぱいになって
しまう」と訴えたとしたら、「なんでも引き受けてしまう」気持ちに焦点をあて、その良い所を探していきます。
この気持ちの中には、他人をサポートしようという利他的な気持ちが含まれているかもしれませんし、「他人からの欲求を
断らない」ことが、その人の自己を守る防衛的な手段だったのかもしれません。

このようにして、自動思考とそこに隠された意味を明らかにしていきます。
この段階では、同時に、クライアントに対し、「感じる」と「考える」の違いに気づいてもらうさまざまなアプローチを適用
します。@のプロセスで出てきた「辛い」、「悲しい」といった感情は、彼ら自身のものであり、だれにも否定することは
できません。しかし、自動思考は、「考える」の範疇で、修正が可能です。

「感じる」と「考える」の違いは、それが身体のどこから出ているのかに注意を向けると明らかになってきます。

「感じる」は、たいていは、身体の首から下のいずれかの部分から出てきます。例えば、初恋の人に会って「ドキドキする」と
いった感情は、例えば、「心臓がバクバクする」という表れ方をし、不快なことがあって「むかつく」時には、胃が文字通り
「ムカムカする」という表れ方をします。一方、「考える」は、常に頭の中で起こります。

「感じる」は自分そのものから沸き起こってくる純粋にその瞬間のその人固有のもので、その人の身体感覚と結びついています。
解離の中で行われる自傷行為においては、「どうしよう」とか、「もうダメだ」といった「考え」に注意が集中し、「感じる」=
「身体感覚」は、自己から離れたところに行ってしまいます。ですから、自傷行為に痛みが伴わない場合が多いのです。

「感じる」を認識することは、自分自身を取り戻すことであり、自傷・解離からの回復の第1歩となります。



(向後善之)

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