(本稿は、カウンセラー'sブログより抜粋したものです)
その事件とは、クラスメートのひとり(X君)の靴が盗まれ、僕がその犯人にされてしまった事件のことです。
X君の靴がなくなったことが発覚した直後に小学校のクラスでホームルームが開かれました。僕が盗んだわけではないので、
「はやく犯人が出てきてあやまればいいのに」と思いながら、そのホームルームに参加していました。
ところが、犯人はいっこうに名乗り出ず、そして、どうも雲行きがおかしくなってきました。どうやら、クラスメートが僕の
ことを疑っているようでした。
そのうち、クラスメートの中から、「昨日、向後君がX君とけんかしていました」という声があがりました。
そうです、確かに前日に、僕はX君とちょっとした口論をしました。でも、基本的に僕とX君は家も近いこともあって仲がよく、
口論をすることはあっても結局仲直りして、いっしょに家に帰っており、前日もそんな感じでした。
しかし、ホームルームの場では、もはや、そんな「言い訳??」は、通用しない雰囲気になっていました。
僕は、クラスメート全てから非難の目を向けられることになりました。この時点で、はじめて僕は、事態がとんでもない方向に
進んでいることに気づきました。
僕は、助けを求めるつもりで、先生の方を見ました。
すると先生は、「向後、正直に言ったら許してやるよ。みんなも、許してあげるよな?」と言いました。
これで、万事休すでした。
僕は、やってもいないのに、「自分がやりました」と言いました。そして、僕は、「靴はどうした?」という先生からの問いに、
「焼却炉で焼きました」と言いました。なぜか、そうした知恵は、働きました。
そこまでの記憶は、今でもはっきりと覚えているのですが、その後どうやって家に帰ったのかさっぱり記憶にありません。
僕は、解離を起こしていたのでしょうね。
この話をした後、ジュディーは「それは、とてもトラウマティックな体験なので、セラピーを受けてワークした方が良い」と
アドバイスしてくれました。
そしてその後、ジュディーが付け加えた言葉が、「It's not the end of the world(この世の終わりじゃないのよ)」でした。
そして結局僕は、3週間後に再び、セラピスト役をやる事になりました。ジュディーが、最後のチャンスをくれたのです。
その3週間、僕は、セラピストのルサ・チューと、「30年以上前の事件」についてワークしました。この事件は、思ったより
深いトラウマでした。ルサとのセッションの中で、僕は、100人とか200人の前で話すのは、そんなに苦手じゃないのに、
20〜50人位の人の前では、どうも萎縮してしまう傾向がある事に気がつきました。
おそらく、「30年以上前の事件」が、まだ片付いていなかったのでしょう。
学校のクラスを思わせる人数が、僕には、恐怖だったのです。 学校で、クラスメートと先生の注目の中で、模擬セラピーをすると
いう環境は、まさに30年前の事件を思い出させる体験だったと言えます。
ルサは、とてもすばらしいセラピストです。セッションの中で、彼女に、暖かく、そして静かに励まされ、僕の中には、ほんの
少し蝋燭1本分ぐらいの力がもどってきました。
また、サマンサやスーザンが、僕のロールプレイの練習に付き合ってくれて、クライアント役をやってくれました。
3週間経ち、いよいよ、最後の模擬セラピーの時が来ました。
休み時間に屋上に行って深呼吸した後クラスに戻ると、サマンサが、「Trust Yourself(自分を信じて)」と励ましてくれました。
時間になり、クライアント(マーサとローリー)を案内して、「What brought you here?(今日は、どんなご相談で来られたの
ですか?)」と最初の質問からセッションが始まりました。
クライアントが持ってきたトピックは、予想していたものとまったく異なっていましたが、サマンサの「Trust yourself」が
きいたのか、なんとかきりぬけて、30分(だったと思います)のセッションを終えました。
クラスメートからのフィードバックの後(ほとんどがポジティブなコメントでした!)、最後にジュディーが「Great Improvement
(大変な進歩ね)」とコメントしました。
そして、「You are ready for practicum(もうプラクティカムの準備ができたみたいね)」と付け加えてくれました。
