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錯覚いけない。良く見るよろし(2)

(本稿は、カウンセラー'sブログより抜粋したものです)

「トランスパーソナル・サイコセラピー」のクラス以来、他のクラスでもレポートの評価が良く、また、学校にも慣れ、
友達も増えてきたので、入学当初の様な緊張がだいぶなくなり、「アメリカの大学院も軽いものだ」等と、調子よく考えたり
していました。

スーザンと知り合ったのは、その頃です。彼女は、台湾からの留学生で、1998年の秋の学期に、CIISの統合カウンセリング
心理学部(ICP)に入学しました。8月の終わり頃、彼女は「教授からの紹介」で、僕の所に電話をしてきました。
「学校の様子や、授業の内容等を聞きたい」という事でした。

僕は「教授からの紹介」って所で、またまた有頂天になってしまったのです。「僕が優秀だから、教授も新入生のスーザンに、
僕を紹介したのかな?」等と、まったく調子の良い事を妄想してしまいました。
冷静になって後から考えると、ICPのアジア系の学生は僕とサマンサ(台湾出身)だけで、しかも、そのときサマンサが台湾に
帰っていたので、おはちが回ってきただけなのです。

スーザンは、僕の1学期目と同じ様に、とても不安だった様です。最初の電話の数日後、僕は学校で彼女に会い、「わりと宿題が
楽なクラス」と、「厳しいクラス」の情報を教えたりして、彼女の履修登録を手伝いました。
留学生がやっていくのは本当に大変な事を骨身にしみて分かっていたし、スーザンを応援したいという気持と、また、数少ない
「アジアの仲間」で、いっしょにがんばりたいという気持がありました。
と、同時に、「僕も成長したもんだ」なんて、ちょっとうぬぼれた気持もありました。

驚いた事に、スーザンは、僕と同じ様に、アメリカ人セラピストのローズ・ナジャ(リッキー・リビングストン)に紹介されて、
CIISに来たとのことです。世界は狭い!そんな事もあって、僕達は、すぐに親しくなりました。

8月の最終週から始まった秋の学期では、自身まんまんの僕は、リーディングが多く、ややっこしそうな「Human Development
(発達心理学)」のクラスをとる事にしました。「Human Development」のクラスでは、幼年期、少年期、青年期そして、中年
以降までのさまざまな成長理論を学びました。
その中でも、誕生直後から5歳位までの成長理論は、それこそ山ほどあり、うんざりする位のリーディングがありました。

授業の中では、幼年期だけでも、クライン、ウィニコット、マーラー、ボウルビー、スターン等の理論を勉強したのですが、
難解な文献も多く、正直言って「西洋人は、なんて理屈っぽいんだ!」と頭をかかえました。さらに、それぞれの理論家達は、
「自分の説こそ正しい」と主張しあっていて、僕から見れば、どの理論も完璧とは言えないんだし、「ちょっと、お互い妥協
したらどうだい?」と言いたくもなりました。

例えば、スターンと言う人は、マーラーという人の説を真向から否定していて、「マーラーの言う、○△×という概念はあり
得ない」なんて書き方をしています。「一旦受け入れる」事をせずに、いきなり反論するというのは、西洋のやり方なのかも
しれません。
まあ、こんな訳で、「Human Development」のクラスは、面白いけれどもややっこしく、とまどう事が多かったのです。

この状況を救ってくれたのは、このクラスをとっていた東西心理学を専攻する日本人留学生のMさんでした。
彼女と、「日本語」で話し合えた事で、ややっこしい「Human Development」の概念も、かなり整理がつきました。



(向後善之)

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