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本物の迫力(3)

(本稿は、カウンセラー'sブログより抜粋したものです)

さらに、クラスでは、薬物依存について認識を深める、刺激的な「でき事」がありました。

学期の最後の方の授業で、実際の元薬物依存者が「ゲスト」として、自らの経験についてクラスの中でスピーチしました。
仮に、名前をウイルとエディーとしておきます。
2人とも6フィート(180センチ)を越える大男で、ウイルは白人、エディーは黒人でした。

ウイルは今は完全にやめていますが、60年代から80年代後半まで、マリファナを始めとしてコカイン・覚せい剤・ヘロイン・
幻覚剤等なんでもやってきたと言います。
「60年代70年代は、みんな、当たり前の様にドラッグをやっていたんだ」と、ウイルは言います。

そして、インストラクターのアラン・レビィンに向かって、「アラン、あんたもやっていただろう?」と言うのです。
アランは、ただ、にやっと笑って、なにも答えませんでしたが、はて本当のところはどうなんでしょう?

ウイルは、言います「コカインとヘロインを一緒にやった時は、最高だった」。

コカインはいわゆるアッパー系の代表的薬物で、気分を高揚させます。また、ヘロインはダウナー系の薬物で、沈静効果をもち、
心の防衛をゆるめる機能を持っています。

ウイルの様に、アッパー系の薬物とダウナー系の薬剤をとる事を、「ローラーコースター(ローラーコースターは、日本で言う
ジェットコースターの意味です)」といって、その気分のアップ・ダウンが「ぐっとくる」のだそうです。
「ローラーコースター」は、非常に危険で、多くの人が事故死しています。
映画「ブルースブラザーズ」で一躍有名になったコメディアンのジョン・ベルーシも、この「ローラーコースター」の最中に
事故死したのではないかと言われています。

エディーの場合は、いきなり、「オレが務所に入っていた時、」というセリフからスピーチを始めました。
彼は、フットボール選手の様な筋肉もりもりの体格で、その話にはとても迫力がありました。
彼も、ありとあらゆる薬物(コカイン、覚せい剤、幻覚剤)をやったと言います。

彼は、「オレの好みは、スピード(覚せい剤の事です)だ」と言います。彼は、スピードをやっている最中に、ある犯罪を犯し、
刑務所に入れられました。その後、裁判所の命令により治療を受け、何度もリラプス(再び薬物を使用する事)を繰り返した後、
今は10年間ソブライエティー(まったく薬物をとらない事)を保っていると言います。

さらに彼は、自分自身の経験を生かし、現在は薬物依存者のためのセラピストをやっています!

アメリカでは、薬物依存者達がソブライエティーを保って安定した生活ができる様になった後、教育を受け、セラピストになる
例がけっこうあります。依存者の苦しみは、依存者が一番理解できるのかもしれません。
それにしても、エディーのセラピーは、「ド迫力だろうな」と思います。

彼等のスピーチは、刺激的でした。そのおかげで、薬物依存の世界を、ちょっとの間ですが、肌で実感できた様な気がします。



(向後善之)

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