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本物の迫力(2)

(本稿は、カウンセラー'sブログより抜粋したものです)

「アルコール・薬物依存」のクラスでは、「どの理論を支持しなさい」と言う事は言いません。
どの理論を採用するかは、学生の個人の判断にまかせられるのです。
ただ、判断をするにあたっては、文献による知識だけではダメで、実際に「薬物依存者たち」と接する事が要求されます。

クラスのミッドタームペーパーは、「薬物依存者達」のミーティングに参加して、その結果をレポートにするというものでした。
僕は、AA(アルコホリック・アノニマス)に参加し、話しを聞いてきました。
AAは、アルコール依存症の人達の「自助グループ」で、参加者はもとより、司会者も全員アルコホリックです。

参加者は、発言の前に必ず、「マイ ネーム イズ トム。アイム アルコホリック」と、もうアルコールを止めているのに、
自分の事を「アルコホリック」と規定します。これは、AAが、Disease Modelを全面的に採用し、「一度アルコホリックに
なったら、一生アルコホリックであって、少しでも飲んだらまた依存生活にもどってしまう」という思想がつらぬかれている
事によります。

僕は、別にアルコホリックでは無いのですが、つい「マイ ネーム イズ ヨシ。アイム アルコホリック」と言ってしまい
ました。
オブザーバーとして参加しているので、そんな事を言う必要もなかったのですが、小心者なので、ついつい「廻りに合わせて
しまう」根性が出てしまったのです。

AAでは、参加者のみなさんが自分自身の生々しい体験を話します。
例えば、夫に隠れて昼からキッチンでウオッカを飲んでいて、結局それが原因で夫と離婚した主婦の例もありますし、また、
アルコホリックの治療のために入院していた人が、退院の日にバーの前を通った時、どうしてもクレービング(アルコールや
薬物への渇望)が押さえきれずに飲んでしまって、依存生活に逆戻りした話しをしていた例もあります。

後に参加した、麻薬類依存者の公開セミナーでは、覚せい剤を買うお金を得るために、売春(ゲイの売春)をして、HIV
ポジティブになったという男の人が、その経験をスピーチしていました。

そんな体験をしたと言っても、薬の問題を除けば、参加者の人達は普通の人達です。
いっしょに話をしていても、フレンドリーで、気さくな人達だった事がとても印象的でした。
AAなどへの参加は、僕にとって意義のある事で、後に実際にカウンセリングを行う際にとても役立ちました。



(向後善之)

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