(本稿は、カウンセラー'sブログより抜粋したものです)
ある日、クラスの中でエッセイを書く課題が出ました。エッセイの課題は、「福祉と医療について」で、書き終わった人は、
別室で雑談していてよい事になりました。
こういう時になると、日本人・中国人・韓国人の学生達の独断場で、最初にエッセイを書き終えた3人は、これらの国々の
学生でした。僕もCIISでさんざん論文を書かされているせいか、早く書き終わり、この3人の中の一人になりました。
僕達が別室でとりとめのない話しをしていると、4人目に入ってきたのは、なんとアレックスでした。
それまで、僕達はおとなしく話しをしていたのですが、アレックスが加わったとたん場の雰囲気が変わり、アレックスの
ジョークに大笑いの連続になりました。話題の中心は当然のごとくアレックスで、彼は、彼のこれまで見た映画の数々に
ついて熱っぽく語り、「フォレスト・ガンプがベストムービーだ」と言っていました。
アレックスは、「フォレスト・ガンプ」を10回も見ていて、毎回5回づつ泣くのだそうです。
「5回も泣くシーンがあったかな?」と思うのですが、とにかく彼は、何度見ても同じ所で泣くらしいのです。
彼のお気に入りは、「フォレストが反戦運動にまきこまれ、ひょんな事から演説をする事になり、そこで幼馴染のジーンと
再会する」シーンで、そこでアレックスは声を出して泣いてしまうと言っていました。
そんなふうに会話が盛り上がっている時、インストラクターのシャノンが部屋に入ってきました。そして、開口一番
「アレックス。あなた、まだエッセイ提出してないでしょ」と言いました。アレックスは、「OK。すぐ書くよ」と言って、
教室に戻って行きました。
どうやら、アレックスはエッセイを書いている時僕たちの話し声が聞こえたらしく、「楽しそうなので」、「エッセイは
放っておいて」僕達のいる部屋に来たらしいのです。その事を知って、僕達は大笑いしました。さすが、アレックス君
たいしたもんです。
その後、別室の人数が増え10人前後になった時、かのアレックス君が戻って来ました。
「ウエルカムホーム!」と、皆で彼を迎えた後、またまたその部屋はアレックス君の独断場になりました。何を話したのかは
もう覚えていないのですが、とにかく皆でアレックスの話しに大笑いして楽しくすごしたのを覚えています。
ところが、そこにまたシャノンが入ってきました。「アレックス。エッセイはどうしたの?」とシャノン。
アレックスは、「わかった。すぐ書くよ」とシャノンに答えた後、僕達に向かって「すぐ、もどってくるから」と言いはなち
ました。もう、僕達は涙が出るほど笑いました。
アレックスを見ていて、僕は自分の子供の頃を思い出しました。ものおじせず、自分の思った通りに行動して、笑いたいとき
には笑い、泣きたいときには泣くといった時代です。
アレックスみたいな人が、例えば日本の会社にいたら、生産性も落ちるし「こまったもんだ」という事になるのでしょうが、
そんなことよりも、僕は、彼から何かとても「ほっとしたもの」を感じました。
アレックスは、私のインナーチャイルドなのかもしれません。
