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日本人は、ハウスボートに住んでいる(3)

(本稿は、カウンセラー'sブログより抜粋したものです)

そんな彼の評価が一変する事件?が起きました。授業の中で、「Joy Luck Club」と言う映画を見た時の事です。

この映画は、中国からの移民の姿を描いており、サンフランシスコが舞台で、アメリカと中国の文化的な違いが良く出ています。
映画の所々で、第二次世界大戦前後の中国の様子が出てきます。

その中で、主人公のひとりが、家が貧乏なため母親と離れ離れに暮らさなければならないという、悲しいシーンが出てきます。
その母と子の別れのシーンの時、後ろの方から鼻をすする音がしてきました。私は、きっと中国人学生のだれかが泣いているの
だろうと思っていました。

そのうち、その鼻をすする音は、すすり泣きに変わり、最後には、大きな泣き声になったのです。「もうやめてくれ。これ以上は
辛くて見れない!」と、その泣き声の主が叫びました。それは、グレゴリーでした。
彼は、顔をくしゃくしゃにしながら、大声で泣いていたのです。

彼は、「あまりにかわいそうじゃないか。親と子供は一緒に暮らすべきだ」と言うのです。グレゴリーの主張が通り、クラスの
映画鑑賞は、そこでひとまず中止となり、グループディスカッションをして、その日の授業は終了しました。

後からわかったことなのですが、グレゴリー自身も、事情はよくわかりませんが、親をロシアに残してアメリカに来ていたのです。
その授業のとき、通常なら、グレゴリーの「映画は、もうやめてくれ」という主張に対し、「もっと見たい」という反論が出ても
おかしくなかったのですが、その日のグレゴリーからは、とても深い悲しみが伝わってきて、だれからも反論が出ませんでした。

その授業以来、皆のグレゴリーを見る目が変わり、彼もクラスの中に溶け込んでいきました。
僕も、同じエンジニア出身な事もあって、彼とは良い友人になりました。でも、相変わらずガンコでしたけどね。



(向後善之)

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