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ミルドレッドとの1時間(2)

(本稿は、カウンセラー'sブログより抜粋したものです)

ナルシズムに関して僕には誤解があって、簡単に言ってしまえば、「彼等は、自分がすばらしいと思えて、自分の事を好きなの
だから、幸せな人達じゃないか?」と思っていたのです。テキストを読んでも、なんで、ナルシズムが問題なのか良く理解でき
なかったのです。
ミルドレッドは、その日時間が無かったので、次の週の授業前に学校のカフェでパスタの軽食をとりながら、約1時間僕の質問に
答えてくれました。

ナルシズムとは、こちらで書いたように、自己に対する誇大な感覚、特権意識、限りない成功・権力等への空想へのとらわれ、
他人を不当に利用する等の症状を指します。彼等は、人に傲慢な印象を与える事が多いのですが、その傲慢さは、非常に脆い
基盤の上に乗っています。

こうした概念を、ミルドレッドは、ジェスチャーを交えながら、とてもわかりやすく説明してくれたので、ナルシズムに対して理解が
深まりました。
また、僕の方も、彼女の勢いに引き込まれるように、自分の意見を述べるようになりました。そして、ミルドレッドは、僕の考えや
アイデアを真剣に聞いてくれました。

彼女が、精神病理や精神分析の話をしている時、実に楽しそうにしゃべります。彼女の専門である精神分析は、どうもお堅く
難しい印象があったのですが、彼女の話を聞いていると、とても興味深く思えました。
そして、彼女がさまざまなクライアントについて語るとき、けっして上から目線ではなく、クライアントさんと同じ視点に立って
話をしていることには、感動を覚えました。

彼女はおそらく当時50歳台だったのでしょうが、情熱的で、ハツラツとしていて、エネルギッシュで、とても魅力的な女性でした。
ミーティングの最後に、ミルドレッドが、「クラス(授業)の中でも、今日みたいに話してくれればいいのよ。ヨシの考えは、
とてもユニークで興味深い」と言ってくれました。いやー、とてもうれしかったですね。

ミルドレッドに限らず、教授達は、たいてい学生の質問に時間をさいて、ていねいに答えてくれます。そして、みなさん心理学の
話をしているとき実にうれしそうに話します。そして、学生のつたない意見や考えを真剣に聞いてくれました。

ミルドレッドとの1時間の面会は、CIIS の教授達の学生に対するサポーティブな対応を確信させるものでした。
この経験は僕にとって非常に大きく、その結果、入学後2ヶ月にしてようやく、授業中の議論に参加できる様になりました
(ちょっとだけですが・・)。
ちなみに、僕がクラスの中で手を挙げて、はじめてみんなの前で自分の意見を述べたのは、ミルドレッドのクラスでした。



(向後善之)

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