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ミルドレッドとの1時間(1)

(本稿は、カウンセラー'sブログより抜粋したものです)

学校に行き始めて2か月ぐらい経った頃から、少しづつ緊張の度合いが少なくなってきた自分に気が付きました。
緊張が無くなってくると、授業中の学生達の議論もだんだん耳に入ってくる様になります。
すると、彼等が議論している部分は、まさに、僕自身疑問に思っていた所だったなんて事がよくありました。
僕がわからない所は、彼等にも難しいのです。その発見が僕を少し楽にしました。

また、前にも書いた様に、教授達がけっして「そんなバカな質問するな!」とか、「質問する前にもっと勉強しろ!」とか
言わない事がわかりました。彼等は、実に根気強く、学生が納得するまで説明してくれるのです。
その上、時間が足りなければ、授業の時間外にも会ってくれます。

それでも僕は、相変わらず、授業中に発言できませんでした。

ある日、教授のミルドレッドが、彼女が担当する精神病理学基礎のクラスの後で、僕のミッドタームペーパーがなかなか
面白かったと声をかけてくれました。おそらく彼女は、クラスでなにも発言しない僕を気遣ってくれたのでしょう。
僕は、ミルドレッドに質問したいことはたくさんあったのですが、それまで、まったく言葉をかわすことはありませんでした。
それなのに、ミルドレッドの方から、声をかけてきてくれたのです。

僕は、彼女の授業の中の「自己愛人格障害(ナルシズム)」の部分がどうしても理解できなかったので、意を決して、その場で、
ミルドレッドに質問しました(こんな事で、「意を決し」なければならない自分がなさけなくもありました)。

ミルドレッドは、その日会議があり質問に答える時間が無かったので、次の週のクラスの前に時間をとってくれると言って
くれました。



(向後善之)

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