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妄想を聴く

(本稿は、カウンセラー'sブログより抜粋したものです)

妄想には、「奇異ではない妄想」と「奇異な妄想」があります。

「奇異ではない妄想」は、例えば、「学校のみんなが私を嫌っている」というレベルの妄想で、現実にまったくありえないとは
言えないような妄想を示します。

これが、「奇異な妄想」ともなると、「世界中のネットやテレビで、私の悪口が流れ、ついに、ローマ法王が、私に対して
不快感を述べた」といった、現実にはありえないような物語になります。

「奇異ではない妄想」のレベルでは、妄想が、現実的にはあり得ないことを伝えることもある程度可能ですが、「奇異な妄想」
ともなると、それは、非常に困難です。クライアントさんが妄想を訴え始めたら、そのストーリーが現実的なのかどうなのかを
検討するよりも、クライアントさんの感じている感情についてフォーカスしながら、話を聞きます。

確かに、妄想、特に「奇異な妄想」のストーリーは、荒唐無稽です。
例えば、「自分は、某国の諜報部員であり、今日本で諜報活動をしてますが、敵国に存在がばれ、執拗な電波攻撃を受けています。
その電波は、非常に微細なものだが、長時間受けると死に至ります。幸い私は、気づくことができたが、次にどのような攻撃を
受けるのかは、不明です。おそらく、プルトニウムを使うのではないかと思います」といった具合です。

こうした「奇異な妄想」が実際に自分の身に起こったらどうなるかを、できるだけビジュアルにイメージしながら、クライアント
さんの話を聴くと、クライアントさんの気持ちが理解しやすくなります。
その際、クライアントさんの妄想自体を否定しないことが大切です。僕らから見れば妄想かもしれませんが、クライアントさんに
してみれば現実だからです。

カウンセラーが、自分の気持ちを理解したかどうかは、クライアントさんは、敏感ですから、すぐにわかります。
(気持ちを)カウンセラーに理解されたという思いは、クライアントさんの不安や恐怖のレベルを下げ、その結果、妄想の
レベルも軽くなっていきます。



(向後善之)

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