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金魚との会話(3)

(本稿は、カウンセラー'sブログより抜粋したものです)

Zさんの金魚話は、微妙ですが、少しづつ変化していきました。

例えば、びくびくしていたベスは、元気に泳ぎ回るロイの姿を見ているうちに、「マリアは、それほど怖くないの
ではないか?」と思うようになってきました。なぜなら、泳ぎ回るロイに対して、マリアがなにもできないことに
気づいたからです。

おびえのなくなってきたベスは、しだいに自分の中に、ロイのように自由に泳ぎ回りたいという欲求があることに
気付いていきました。

そのころ、Zさんは、ベスが隅っこから出てきて少しの間ですが、泳ぎ回ったことをうれしそうに語ったりして
いました。彼女の話を聴いていると、本当に金魚たちの中で、そうしたプロセスが起こっているようにも思えて
しまいました。

そんなとき、金魚の世界に大きな事件が起きました。
ロイが水槽から飛び出て、死んでしまったのです。

そのときのセッションで、Zさんは、泣きながら「ロイが自殺した」と報告してきました。
そして、「でも、私は、ロイがうらやましい。だって、彼は、外に出ることができたんだもの」と言いました。

「私は、ロイがうらやましい」は、彼女が、セッションの中で、はじめて「私」を主語に、自分自身の気持ちを
明確にあらわした言葉です。
このセッションの後、彼女の金魚話は、どんどん少なくなり、自分の気持ちを「私は」を主語にして語れるように
なり、1ヶ月ほどして、幻覚も妄想もきれいになくなりました。

Zさんのカウンセリング期間は、合計4ヶ月でした。
その後彼女は、学校に復帰して、普通に学生生活を送るようになりました。



(向後善之)

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