(本稿は、カウンセラー'sブログより抜粋したものです)
サンフランシスコでカウンセリングを行っている時、金魚の声が聞こえるZさんという19歳のクライアントさんを
担当したことがあります。
そうした状態は、ある日突然始まりました。金魚には、マリア、ベス、ロイなどといった名前が付いていました。
金魚には、それぞれ特徴があります。
マリアは、ふなのように大きく、いつもでんと、真ん中を泳いでいます。
ベスは、気が小さく、いつも隅の方で静かにしています。
ロイは、小さいのに、何匹もいる金魚の中で唯一マリアを恐れず自由に動き回っているとのことでした。
この金魚たちは、Zさんの心の中の世界を表しているように思えました。
マリアは、明らかに、彼女の母親を表しています。Zさんの母親は、支配的で、娘のZさんのつきあう友人を制限
したり、Zさんの進むべき方向を勝手に決めたりしていましたし、娘からの反論は許さないといった態度の方でした。
ベスは、びくびくしていて、引っ込み思案で、ひきこもりがちなそのころのZさんを示しているのでしょう。
ロイは、Zさんの願望や、生きるエネルギーを示しています。
心理学的な用語を使えば、マリアは超自我、ベスは自我、あるいは、そのとき表面に出ている自分、ロイは、エス
ないしは、無意識的な願望やエネルギーを示していると言えるでしょう。
彼女は、「金魚との会話」というかたちをとって、自分自身の心象風景を語っていました。僕は、セッション中、
ひたすら彼女の金魚話を聴いていきました。そして、それぞれの金魚が、どんな気持ちで、どんなことを考え、
どんな希望を持っているのかを語ってもらいました。
Zさんによれば、マリアは、傲慢で支配的なのですが、実は、心の奥底では、いつか反乱が起き、自分が殺されて
しまうのではないかとビクビクしており、ベスは、おびえているように見えますが、水槽の中で起こっていることを
観察しているという冷静さを持ち、また、元気なロイをうらやましいと感じていました。ロイは、無邪気で元気で、
冒険心に富んでいて、いつか水槽の外に出たいと考えていました。
Zさんとのセッションでは、そうした金魚たちの話が毎回のように続きました。しかし、その金魚話の中から、僕は、
彼女の心と接することができました。
