(本稿は、カウンセラー'sブログより抜粋したものです)
7年前に日本に帰ってきて、臨床心理学の偉い先生方からよく聞かれたのは、「あなたのオリエンテーションは?」という
質問です。「あなたの支持する心理学の理論は何ですか?」という意味ですが、んー、正直答えるのに困ります。
僕は、こちらのコラムで紹介した3つの主要理論(精神分析、認知行動、人間性心理学)全てを状況に応じて使います。
クライアントさんの過去のトラウマとその影響を考えるのなら精神分析を、偏った信念(例えば、「私は、何をやってもダメ」)
に注目する必要がある場合には認知行動を、自分自身の中にある成長欲求に気づいてもらおうと思うときには人間性心理学を・・
といった具合です。
そんな風に答えると、「ああ、折衷派ですね」って言われ、結局ラベルをつけられてしまいます。やれやれ。
その次に多い質問は、「これからは、認知行動療法ですよね?アメリカはみんなそうでしょ?」です。
確かに、認知行動療法は、広く支持されている心理療法です。しかし、あくまでひとつの方法であって、他の手法を使っている
人はたくさんいますし、アメリカの認知行動派の人たちも、ほとんどが、なんらかの形で精神分析や人間性心理学の考え方も
とりいれていると言ってよいでしょう。
サンフランシスコにいたとき、大多数のカウンセラーが、複数の理論を自分なりに組み立ててカウンセリングを行っていましたし、
必ずしも認知行動が主流というわけではありませんでした。
「もう『あなたのオリエンテーションは?』とか、『これからは、○△療法ですよね?』なんて時代じゃないでしょ」というのが、
僕の正直な気持ちです。
