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カウンセラーとアドバイス

(本稿は、カウンセラー'sブログより抜粋したものです)

押し付けがましさというのは、カウンセラーとして注意しなければなりません。カウンセラーは、うっかりしていると、
クライアントさんのペースを忘れて、ついつい押し付けがましいアドバイスをしてしまったりしてしまいがちです。
アドバイスは悪いわけではないのですが、ほどほどにしないと、クライアントさんの自分で考え行動する力を奪ってしまいます。

私の恩師であったマイケル・カーンは、「アドバイスは、せいぜい1セッション1回」と言っていました。
おそらくその程度でよいのでしょう。ほとんどの場合、セッションの中で、クライアントさんが自分で答えを見つけていきます。

カウンセラーがアドバイスをしすぎたり、しゃべりすぎたりする場合、カウンセラー側が不安な場合が多いんです。
なんとか、カウンセラーっぽくふるまわなきゃって思っちゃうんですね。
多すぎる押し付けがましいアドバイスは、クライアントさんのためにやっているのではなく、カウンセラーが自分自身の安心の
ためにやっているので、クライアントさんのためには、なりません。

だからと言って、まったくゼロにした方がよいというわけではありません。
特に最初のセッションでは、なんのアドバイスもないと途方にくれてしまう方もいらっしゃいます。
また、欧米の場合、クライアントさんはあまりアドバイスを求めないのですが、アジア系のクライアントさんは、アドバイスを
求めてきます。これは、文化の違いを反映したものでしょう。

日本でカウンセリングをやる場合、クライアントさんは、アドバイスが無いと不安になったり、途方にくれてしまったり、満足感を
得られなかったりする場合が少なくありません。

私の場合、最初の数セッションでは、行動面でのアドバイスをしたりします。
数セッションを経ると、日本のクライアントさんも欧米のクライアントさんとあまり変わりがなくなり、アドバイスを求めなく
なってきます。

欧米人のクライアントはアドバイスを求めず、日本人のクライアントはアドバイスを求めるなんて言うと、「日本人は、自分で
判断する能力に欠けている」などと思ってしまう方もあられるかもしれませんが、私は、これは文化の違いによるものだと単純に
思っています。

欧米のクライアントさんは、アドバイスをあまり求めないのですが、自己判断が暴走してしまう場合もあるのです。
「おれは、全てが理解できた」なんて方向にいってしまうことがあるんですね(本当に理解できたのならよいのですけど・・)。

一方、日本のクライアントさんは、一歩一歩確認しながら進んでいこうとする傾向があるように思えます。
どちらが良い悪いといった問題ではないと思います。


なんでカウンセラーがクライアントさんに、あまりアドバイスしないのかというと、第1に【クライアントさんの回復する力、
成長する力を奪ってしまうことがある】からです。

あまりにアドバイスしすぎると、クライアントさんは、自分で考える意欲を失って、カウンセラーに依存することにすらなって
しまいます。
また、クライアントさんが、すでになんらかのアイデアを持っているときにカウンセラーが不用意にアドバイスしてしまうと、
クライアントさんの意欲がなくなってしまうこともあります。
子供の頃、「そろそろマンガをやめて、勉強しようかな」と思っているときに、親から「勉強しなさい!」って言われると、
やる気を失ってしまう・・そんな経験をお持ちの方もおられると思います。アドバイスのしすぎは、それと同じですね。


また、クライアントさんにアドバイスするとき、意識面からのアドバイスは、あまり役に立たないことが多いと言えるでしょう。

例えば、うつのクライアントさんに、「気持ちの持ち方を変えるように」と言ったところで、クライアントさんは、戸惑うばかり
でしょう。
クライアントさんにしてみれば、「気持ちの持ち方をどう変えたらよいのかわからないからカウンセリングに来てるのに・・」と
思うに違いありません。

単に「気持ちの持ち方を変えるように」ではなく、どうやったら気持ちの持ち方が変わるのかを、カウンセラーは伝えるべきです。
アドバイスは、具体的なやり方にまで言及しなければ、意味はありません。



(向後善之)

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