(本稿は、カウンセラー'sブログより抜粋したものです)
前回お話したリスキーシフトとコーシャスシフトについて、もう少し説明を加えましょう。
リスキーシフトとは、「グループの意志が、より過激な方向にいってしまう傾向」で、その結果、以下のような状況が起こり
えます。
●他のグループに対する過激な攻撃や敵意に発展する
●リーダーへの絶対服従が起こり、反対意見は封殺される
●メンバーは、より自分をアピールするために過激な意見を述べるようになる
●「すべき」があって、「したい」がない
「神国大日本帝国は負けない」との思想のもとに泥沼化していった戦時中の日本の状況などは、国中がリスキーシフトした例と
言えるでしょう。また、過激派の内ゲバや、オウム真理教の事件などもリスキーシフトの結果と言えます。
コーシャスシフトは、「グループの意志が、なにもしない現状維持的な方向にいってしまうこと」で、その結果は以下のように
なりえます。
●「できない」、「やらない」理屈ばかりでなにもやらない
●新しいアイデアは採用されない
●「まあいいじゃないか、これまでうまくいってきたんだから」という雰囲気
前例主義や先送りといったことがグループ全体で起きている時、それは、コーシャスシフトのあらわれと言えるでしょう。
リスキーシフトやコーシャスシフトが起こると、グループの結束を図るために、グループ内に生贄を作る「スケープゴート化」が
起こりやすくなります。その結果、グループ内の不満は歪められ、全てスケープゴートに向けられることになります。
かつて過激派内で起こったリンチ事件などは、スケープゴート化の例ですし、現在でも、いじめなどの背景には、こうした
スケープゴート化があるでしょう。
スケープゴート化の根底には、メンバー内の不安があります。スケープゴート化は、その他のメンバーが、自分がグループに
所属していることを確認し、アピールしようとする試みでもあります
これまでお話ししてきた「強すぎるグループ規範」、「カテゴリーエラー」、「リスキーシフト」、「コーシャスシフト」、
「スケープゴート化」を防ぐためには、グループ内のそれぞれのメンバーの多様性を認め、違いを尊重する「ビジョン
ロジック」と呼ばれる姿勢が必要です。違いから新しいアイデアが生まれるわけですからね。
それから、意見が違うからといって、人格まで批判しないことだと思います。
